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タマノイ酢よみうりオープン 2001

「苦労だと、思ったことはない」

 福澤義光は96年にシード入りをするも、その後は苦節続き。しかし、その経験こそが今回のしぶとさにつながった

 初日は、断続的に降り続いた激しい雨の中、ベストスコアの64をマーク。
 「あの天気の中、よくも8バーディも出せたね、ってみんなに言われて・・・。自分でもよくやったと思います。初日のスコアも、今回の勝因ですよね」

 悪コンディションにもめげない、福澤のたくましい精神力は、プロ入り以来、幾度も遭遇してきたさまざまな苦労を、乗り越えてきたまものだった。

 96年に念願の初シードを手に入れるも、翌年には、シード落ち。
 プライベートでは、98年に離婚を経験し、また、今年は、10年間、面倒見てくれた所属先に解雇を言い渡され、先月には、クラブメーカーからも契約を切られてしまった。

 だが、そんな経験も、福澤は明るく笑い飛ばした。
 「苦労・・・? そんなふうに感じたことはありません。少しの蓄えで、質素に暮らしてきたし、食べるのに困ったことはないですしね」

 稼げない時代も、レッスンプロの道は選ばず、むしろ「ツアープレーヤーは、ツアーで稼ぐもの」と自らに厳しく課して、努力を続けた。

 96年のフィリップモリスでは、罰打も承知で、ボールの下敷きになったトンボを助けたこともある心優しい男だが、「プレーしているときの僕は、実は、そんなに良い人じゃないんですよ。・・・亨君から、優勝も、もぎ取ってしまったしね」。
 そう言って笑った笑顔に、度重なる試練を乗り越えてきた人間の余裕が感じられた。
 そして、表彰式では、自らの体験をなぞらえて、「みなさんも、僕を見て、人生、悪いことばっかりじゃない、と感じてくれたら嬉しい」と、満員のファンに呼びかけていた。