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日本オープンゴルフ選手権競技 1999

『第64回日本オープンゴルフ選手権競技のコースセッティングについて』競技委員長・大橋一元さん

今年の日本オープンは、各ホールの距離、レイアウトに応じて、難易度を変えてあります。例えば距離が短めのパー4ホールでは、ティーインググラウンドから視覚的にプレッシャーを受けるラインにベストポジションを設定しました。フェアウェー幅も狭め、ラフも8センチ前後と深くして、ショットの正確性を要求しています。
 逆に距離の長いパー4では、ティーショットの落しどころにある程度の余裕をもたせ、ラフも6センチ程度に抑えてあります。しかし、飛ばせば勝ち、という状況を防ぐために270ヤードを超えるショットに対しては成功と失敗がはっきり現れるよう、多少の厳しさを加えました。フェアウェーのうねった箇所は、視覚的にもかなり狭く感じ、狙いどころは限られてくるでしょう。

 グリーンまわりは、良いショットとミスショットに差をつけるため、7ミリ前後に短く刈りこみ、正確にグリーンに止められるショットが打てないとボールが転がり落ちてしまう設定にしました。

 これまでの日本オープンといえば、グリーンまわりの深いラフが特徴だったのですが、今回、短く設定しましたのには、芝質に大きな関係があります。

 ふつう、日本のコースは、気候の関係上、グリーンはベント芝(寒さに強い洋芝)を使っていても、フェアウェーまでベント芝を用いているところはめったになく、高麗芝(暑さに強い和芝)というところがほとんどです。

 高麗芝は葉が硬いので、多少、刈りこんでも球が止まりやすい。ですから、グリーン回りを刈りこむより、長く伸ばしたほうが、ショットの差が出せたのです。

 一方、今回の小樽カントリー倶楽部は、土地柄、フェアウェーもベント芝で覆われています。ベント芝は刈りこめば刈りこむほどなめらかになり、ボールへの抵抗が減ります。しかも、ここのグリーンは受けているホールが多い。芝とグリーン形状とのマッチングを考えたとき、グリーン回りのラフは短く刈りこんだほうが、より選手たちの技量を引き出しやすいと、考え、このようなセッティングにしたわけです。グリーン回りに関しましては、海外メジャーの設定に、より近いものができあがったのではないかと思います。

 そして、最後にグリーンですが、捕らえられるまでが比較的シビアなので、速さ、硬さともに、あえてオーソドックスなセッティングにはしてあります。コンパクション(硬さ)は現在12。最終的には、毎日刈りこんでいくと、もうすこし硬くなるとは思いますが、万一、このままよい天候が続いても、極端に硬いグリーンになることはないでしょう。

 ピン位置は、4日間、ほぼ同じ難易度に設定し、ばらつきが出ないようにするつもりです。

 先週に襲来した台風で、ポプラの木がコースに倒れかかったりしましたので、若干、修理地を設けた箇所がありますが、それも重大な影響を与えるようなものではありません。

 火曜、水曜で選手たちは念入りにコース下見し、攻略のポイントを学んだことでしょう。

 私が予想する優勝スコアは、280(8アンダー)。スコアにかなり影響する風を読みきって、1日2アンダーずつくらい伸ばせた選手が、最終的にタイトルをものにできるのではないかと思います。

★参考
ティーグラウンド;刈り高10ミリ以下
フェアウェー:刈り高10ミリ以下
グリーン:3ミリ超を目安、コンパクション(硬さ)14以上
ラフ:刈り高80〜100ミリ
セミラフ:刈り高35ミリ以下(幅1,5メートル)
カラー;幅90センチ