Tournament article

宇部興産オープン 1999

宇部カントリー倶楽部所属・坂本義一の「コース攻略法」

まず、所属コースでのツアー開催は、プロにとっては…というか、ボクにとっては、といったほうがいいのかもしれませんが、けっこうツライものがあるんです。
というのも、コースさんや、そのほか地元の方々の期待が、いつもより、ひしひしと体中に感じられて、落ちつかないというか…そういう声援を、もちろん、心からありがたいと思う反面、何かいつもより非常に重く感じてしまったりして…プレッシャーというやつですか。
それに、『いつもまわっているんだから勝てるだろう』みたいな目で見られてしまうことも多いですし…
でも、それは違うんです。だって、トーナメント中のコースというのは、通常営業とはガラリと様相を変えてきますからね。グリーンの速さはもちろん、固さなんて、もう、雲泥違う。普段のグリーンなんて、これが本当に同じコースかと思うくらい、柔らかいですから…
大会中のコースというのは、まったく別物なんです。だから、単純に、勝つチャンスが多いはず、といわれちゃうと困ってしまいます。それでまたさらに、重圧を感じたりして…ね。
だから、極端なハナシ、誰も応援してくれる人がいない場所とかでの方が、ひょこっと勝てちゃったりするのかもしれません(笑)。なんてこれは冗談ですけど、所属コースでの開催というのは、そういう意味でのプレッシャーとの戦いがあるといえると思うのです。

で、そんな僕なりのコース攻略法ですが、ここのコースのキーポイントはなんといっても18番ミドル。ここは軽い打ち下ろしのフィニッシングホールですが、かなり難しい。右サイドはOBラインが浅く、左サイドから木が迫っていることもあり、2打でグリーンを狙っていくために、ここはフェアウェー右サイドキープが鉄則です。しかもグリーンは2段で微妙なアンジュレーションがあるため、たとえ、2位に1打差で程度では、勝負のゆくえはカップインさせるまでわからない。
18番で最低2打、3打差で迎えなければ、大ドンデン返しも大いにありえることです。コース全体でいえば、ここは飛ばしてもしょうがないコース。 飛ばすより、曲がらないティショット。フェアウェーから確実にグリーンに乗せるワザ。これらのマッチングが必要です。特にグリーンまわりは、突っ込んではいけません。手前、手前から確実に。これが大事なのです。

昨年のジョーブ選手の勝因は、優れたショットメイキングに加え、アンジュレーションを完璧に読みきったパット。この組み合わせが4日間、噛み合ったことが大きい。4日間、ショットを曲げず、グリーン手前から寄せるというステディなゴルフを貫くことは並大抵のことではないと思います。それができたあのときのジョーブ選手は、真の意味で、ゴルフの波に乗れたといえるでしょう」