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日本オープンゴルフ選手権 2023

裏方もタフな戦い。日本一を決める舞台作りも一筋縄ではない

今年の舞台となる茨木カンツリー倶楽部は、大正12年(1923年)に設立。まず東コースからスタートし、今回会場となる西コースはその後、名匠・井上誠一氏の手により1961年に完成された。


関西のみならず、日本を代表する名門中の名門として歴史と伝統を重ねて来られた。

近年に入って2011年に、全米オープンの開催コースの改造も多く手がけたリース・ジョーンズ氏の再設計化が施されてさらに洗練。
21世紀に見合った距離と難易度が加わった。


本大会の開催は、1973年(優勝ベン・アルダ)と、1996年(ピーター・テラベイネン)に続く3度目。

直近のスポンサー試合としては「パナソニックオープン」を開催しており、インドのラヒル・ガンジーが制した2018年大会では7343ヤードに対してパー71の設定だった。


今回は、前回13番パー5を502ヤードの長いパー4に変えて、7315ヤードのパー70に。

フェアウェイを逃したボールは深いラフにすっぽり潜り、背の高い林は両サイドからプレッシャーをかけてくる。



日本ゴルフ協会(JGA)の山中博史・専務理事の説明によると、今週月曜日に査定したコースレーティングは「77.6」といい、「これは、ハンディキャップ0の方がプレーした場合のパープレーとなりますが、かなり難しいセッティングになっていることは間違いない」。

今年も、タフなゲーム展開が予測される。


開幕前から、もっとも警戒されるひとつが、527と514ヤードのティボックスを使い分ける7番の長いパー4。

史上初のアマ2勝を達成した昨年覇者の蟬川泰果(せみかわ・たいが)は、火曜日のプロアマ日に追い風の2打目で6アイアンを使ったそうだが、「アゲンストだと別人のようなコースになる」と、畏れている。

「どのホールも曲げると、ケガが大きくなる。優勝スコアは2桁アンダー行くか行かないか。個人的なめやすは2桁アンダーをめやすにプレーしたいけど・・・」(蟬川)。


早くも選手たちを悩ますが、主催者の懸念は一点、この夏の猛暑でダメージを受けたグリーンのこと。

とりわけ3番、14番と18番が顕著で、プロアマ戦では3番と14番の使用を控える苦渋の策がとられた。

本戦では181ヤードと141ヤードのティを使い分ける14番では開幕前日の練習日も1人1球の制限をかけるなど、「残念ながら、完ぺきな状態ではないことを認めざるを得ない」と山中氏。


他ホールの刈り高にできるだけ合わせるため、転圧器やローラーで、均一化を目指すが、速度を表すスティンプメーターは前週の8フィート半から、いまようやく9フィートまで上がってきたところ。


戸張捷・ゼネラルプロデューサーは「グリーンキーパーは夜も寝られないほど悩んでおられる」と明かす。

血のにじむ努力のおかげで「日本オープンとして“そこそこ”耐えうるグリーンコンディション、表面の硬さに整いつつある」と、戸張氏。

開幕ギリギリまで日本最高峰の舞台作りが施される。