Tournament article

Hitachi 3Tours Championship 2022

勝ってもこの敗北感は何だろう。男子のJGTOは女子の人気と強気のプレーに降参

女子のJLPGAは、わずか2ポイント差で史上初の3連覇を逃した。

大会公式ホームページ

最終結果


前半のフォアボール戦で稲見萌音さん&堀琴音さんペアも、吉田優利さん&菅沼菜々さんペアも、6アンダーで回りながら、男子のJGTOに勝てなかった。

「相手が強すぎました」と、4人共に悔しそうだった。


「女子にはちょっと厳しすぎたかな…。去年より、ティーが後ろで」と、稲見さん。

昨年大会の連覇で、女子の使用ティが数か所で少し後ろに調整されたことも、要因したかもしれない。


「男子プロの飛距離はすごい迫力がある。女子はちょっと不利だったかな…」と、今季女王の山下美夢有さん。

特に、今季平均315.74ヤードで飛距離1位の河本力(かわもと・りき)だ。

「男子ゴルフの魅力は存分に見せられたと思う」という手ごたえは男子にもある。


今年の女子チームの平均年齢は、23歳。
男子は24歳。

若さと勢いでもJGTOは負けていなかった。

それなのに、どこかで敗北感を感じるのはなぜだろう。


この女子とシニアと男子の対抗戦に一度でも出たことのある男子プロが女子と同じ舞台に立ってみて、みな初めて肌身に感じることでもある。


パワーも、ド派手なプレー自体にも、自信はある。
でも、「華やかさではかなわない」(河本)



MVPを獲った比嘉一貴は「きょうついてくれたギャラリーの方の8割が女子を応援していた。セカンドショットがついたときは、僕らが試合で直接入れたときのような歓声が起きていた」と、スコアで勝っても、女子人気には降参だ。


「ミスしても、女子はキラキラしていて、男子もそういうのが必要なのかな。見ていて楽しいしぐさとか。それが人気の秘密かな…」と、思案していた。


星野陸也も、「女子の選手はキラキラしていて…。かわいいな、とちょっと思ったりもします」と、思わず言ってしまって「後輩たちにいじられました…」とV会見でモジモジしたが、キラキラだけではない。


男子たちが驚いたのは、女子のみなさんの強気なプレーと高精度。

「僕たちより後ろから打ってピンを刺してくる。自分、精度足りないな、と感じて、このオフの課題が見つかりました」と、蝉川泰果。

しかも小祝さくらさんは、前半9番パー4で、ワンオン成功。
「狙ったよりちょっと左に行ったのが乗ってくれました」と、豪打で魅せていながら、みんなをほのぼのさせていた。


ほのぼのかつ豪快


グリーン上もしかりだ。
星野は、「自分もパターを打つほうなんですけど、自分よりもしっかりと打ってくる。ビックリしました」といい、特に比嘉は、前後半とも同組で回った菅沼菜々さんに大注目し、「非常に強気で、入れたい、という気持ちを全面に出してくるので見ていて楽しかった」と、いちギャラリーになっていた。



「女子も、シニアのみなさんも、ひとつひとつの精度やリカバリーが本当にすごいな、上手いなと思うところがたくさんあって、そういうプレーを今回見られたというのは、自分のゴルフ人生でとてもプラスの経験、勉強になることばかりでした」と、桂川有人も感心するばかりだ。


河本は、「うまっ、スゴっ…て、感動するようなプレーをたくさん見させてもらいました」と感謝。

上手さを兼ね備えた輝きにはかなわない。


かなわない、と認めるからこそ追いつきたい。


「今まで男子ツアーを見に来られたことがない方も、きょうはたくさんいらしてくださったと思う。きょうの僕らのプレーを見て少しでも、興味をもってくださったら嬉しいですし、これからも男子ゴルフのパワーや迫力を、たくさんの方々にお見せしていけるように頑張っていきたいです」(河本)と、優勝できても、人より飛んでもおごらない。


また来年もここでお会いしましょう