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日本プロゴルフ選手権大会 2019

ハンと遼の不思議な因縁

92年と91年生まれの2人だが、9月が誕生日の石川と5月の黄(ハン)はいま、共に27歳。同い年の2人には、因縁があった。
「ハン選手とは、なぜか一緒に優勝争いにからむことが多くて」(石川)。
昨年のシーズン最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は小平を加えて3人でプレーオフを競ったが、小平に敗れた。
石川が、ホストVを目指した15年のカシオワールドオープンは、最終日最終組を争い、ハンが1打差で勝利した。
「何回も彼と戦って、負けたこともある。今日は、挑戦者のつもりでやった」(石川)。

今年のプロ日本一決定戦は、九州南部の豪雨の影響で、開幕が1日遅れてこの日7日の最終日は第3、4ラウンドを、1日でこなすことになった。
最初の第3ラウンドで、2ホール連続のダブルボギーを打つなどスコアを伸ばせなかった石川は、首位と4打差の6位タイに後退したが、この日のうちの競技完結を目指してペアリングの組み換えは、行われなかった。

慌ただしくスタートした最終ラウンドは、最終組で因縁の対決再び。
最後はやっぱりハンと石川の一騎打ちとなった。
15番のバーディで、一度は必勝態勢に入ったハンはしかし17番のパー3で、まさかのダブルボギー。
池越えのティショットは安全策で、大きめのクラブを持ったというが、「それがだめだった。感触もよくなかった」と、ボールは一度はグリーンにかじりついたが傾斜に負け、池に向かって転がり落ちた。
打ちなおして、1メートルのボギーパットも入れ損ねた。
1日36ホールの終盤は、「優勝争いに集中していた、疲れている感じはなかったがラインが微妙だった。フックか真っすぐか、分からなくて自信もなくて、やっぱり外してしまいました」と、ついに石川に並ばれた。

もつれ込んだプレーオフ。
18番パー5のハンのイーグルパットは、遠かった。
きっちりと距離は合わせて打ったが、入らなかった。
左奥からイーグルチャンスをみごと沈めた石川の雄たけびを、ハンは静かに聞いた。
「残念でした」。
悔しさをこらえ、笑顔で握手。
「次は勝ちたい」。
ツアー通算4勝目をみすみす逃したリベンジを、ひそかに誓った。