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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2019

初シードを狙う24歳の松原大輔が、首位と3打差の3位を不思議がるワケ

崖っぷちのお兄ちゃんの思いがけない好スコアに鼻血が出ちゃった弟さん?
晴天の青空が、24歳の心に染みる。ダイナミックに海を見下ろすコースを「綺麗だな、と思って見ていた」と、プロ4年目の松原大輔。

毎年、シビアなシード権争いが、繰り広げられる今大会。
「去年は、景色を見る余裕もなかった。本来は、それがゴルフの醍醐味でもあるのに」。
昨年は、自然の美しさに目をくれる間もなくまい進しながら賞金ランク72位で、惜しくも初シード入りを逃した。

今年こそ、リベンジに燃えるべきだが「ふわふわして…。まるで他人がゴルフをしているような感じ」と、ちっとも身が入らないのは先週のQTサードで予選落ちをしたからだ。
事実上の今季最終戦を、賞金ランク91位とシード権には厳しい位置で迎えたばかりか、来季の出場権をかけた次週のファイナルQTに向かう権利すら失い、お先真っ暗な心境になっている。

「自分の中で、なんかプチンと切れた感じがあった」という。
「来年は、何か資格でも取ろうかな、とか。ゴルフを続けていけるのか、とか。そのくらいのことが起きた感覚。それくらいショックでした」。

先週の傷心も癒えないまま、主催者推薦を頂き今大会にやって来たが「正直、目標も持てない。今までやってきたことを、出そうという気持ちにもなれない。その中で、スコアが出て不思議な感じ」と、2日目の「69」。通算7アンダーの3位タイに戸惑う。

今週は、まだ高校生の弟・将太さんをキャディに「以前はよいところを見せようとか思ったりしましたけど、そんなことを考えながらゴルフをするのも、今思えばちっさなこと」と、自虐しか出てこない。

「弟も、プロを目指しているけど弟は、僕より上手い。『自分がやったほうがいい』と思いながらキャディしてるんじゃないですか?」と、兄の気負いもかなぐり捨てて、つい見惚れる風光明媚なコースで弟と、「”卒業式”を兼ねようか、という感じでやっています」。

若くして、まるで引退を覚悟したような口ぶりだが、2日目の上位進出で一発大逆転もありえる。

仮に、今年もまた初シードはかなわなくとも賞金シードがある65位から後ろ10人には、次週ファイナルQTの出場権も新たに発生する。
起死回生のチャンスはまだある。

「今は、プロになりたての頃の心境に似ている。失うものは何もない、というような…。いい意味の、開き直りというのかな。そういう意味では、いますべてが新鮮」。
美しい海に心を動かすゆとりが、奇跡を起こす可能性もある。
誠実で、いつも折り目正しい性格にはスタッフや、関係者のファンも多く、みんなが応援している。

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