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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ ダイヤモンドカップゴルフ 2019

強烈ショットで2位浮上。デンゼル・イエレミアはNZの新人

最終日にむけて、初の日本ツアーで脅威を植え付けるには、十分の1打だった。
この日5アンダーで迎えた3日目の最終ホール。
ラフからの2打目は、95ヤード残った。
連日の風と晴天で、狙うグリーンはカチコチだ。
非力な選手ならば、乗せるのだけでも至難の業だ。
「ロブウェッジで、高い球が必要でした」。
188センチの長身から振り下ろされたショットは、高々と舞い上がった。

強烈な音を立てて、グリーンをとらえた。
ボールはそこからほとんど微動だにせず、ピン奥2メートルにピタリと止まった。
スライスラインは外したが、ボギーなしの66はベストスコアで回ってきた。
前日の19位から、ふわりと2位に浮上した。

ニュージーランドから来たデンゼル・イエレミアは今年2月にプロ転向したばかりの23歳。
12月に、卒業したばかりのアイオワ州立大では、さしたる成績は残せず最終アマランキングも180位台で終えたから、まだ豪州ツアーにしか稼ぎ場がない。
この大会の出場も、主催のアジア太平洋ゴルフ連盟から推薦を頂いて実現したと喜ぶ。

武器はキャリーで平均310ヤードのドライバー。
フェアウェイの落としどころが狭く、固くしまった高速グリーンも、ハザードをすっ飛ばして短いクラブでチョンと乗せる。
「今までプレーしてきた中で、一番の難コースですが、今日はドライバーもまっすぐに飛んでくれましたし、そこからショートアイアンで、うまくチャンスにつけることができました」。
長身に乗った小さな顔で、嬉しそうに微笑んだ。

初めての日本でさっそく初のVチャンス。
「みなさん本当に親切にしてくれますし、コースはとても美しくやりがいがあるし、ご飯もおいしい!」。
中でも気に入ったのは「ミソスープ。ニュージーランドではなかなか食べる機会がないので」と、開眼した味噌汁が今週の勝負飯だ。

日亜共同主管で開かれる今大会。
勝てば両ツアーの出場権がもらえる。
「まだルーキーですし、選択肢が増えるのは大変うれしいこと。チャンスが来たら、ぜひ優勝をつかみたいと思います」。
ラグビーの強豪国は、かの「オールブラックス」で活躍した親戚もいるといい、家系も屈強揃い。
それでいて、さわやかな笑顔と柔らかな物腰が、はじめての日本ツアーで誰の心もひきつけそうだ。