Tournament article

日本プロゴルフ選手権大会 2018

石川遼は今週も二足のわらじでV争い

さっそく初日から、コースへの苦手意識を払拭出来た。雨雲が季節外れの雹(ひょう)を降らせた頃に、スタートの10番にやってきた石川。
ふいに叩きつけた氷の塊に、無邪気にスマホのカメラを向けていたら、中断のサイレンが鳴った。
予定より10分ほど遅れて始まった石川の第1ラウンドは、さっそく最初のホールで手応えを掴んでいた。

「天気が良くない中で、右のラフにはいったが、いいティショットが打てて。その時点でちょっとは良くなっているな、と」と、国内開幕戦から一進一退に感じていたスイングの状態に、光明を見いだしたらこだわりのマネジメントも思い通りに描けた。

中でも「凄く上手くいった」と挙げたのが、手前から10メートルのバーディパットを沈めた2番のパー4だ。
ラフから140ヤードの2打目は、前に立ちふさがる木を避けて8アイアンで、グリーンを狙ったフェード球は、フライヤーも計算し尽くされた、渾身の1打だった。
「最初からラフを嫌がって打つのではなくて、行ってしまったら行ったで、自分の中の引き出しでどう対処できるか。その能力に駆けるしかない」。
難コースに自分のゴルフを合わせるのではない。
自分のゴルフを貫いた結果をしっかりと受け止め、問題解決に取り組む姿勢。
「それが出来ればコースの相性うんぬんは関係なく、どこでも対応出来る」。
初日の4アンダーにさっそくその確信が深まった。
「これが出来なければ、4日間は持たない」と改めて、言い聞かせた。2年ぶりの出場を果たしたプロ日本一を決める舞台では、これまでとは違った景色も見ている。
「以前は自分のことだけ」と、試合だけに専念しておれば良かったが、今年は会場入りするなり、新選手会長としての役割にも追われている。

JGTOの主管競技ではないため今年から、選手会主導で始めたピンフラッグの販売など、主催者やコースにはいちから説明をして、理解を求めなければならない。
折衝を重ねる中で、主催者の熱意を直に感じ取れることまた貴重な経験だ。
「コースの方々の意向で、子どもや家族に楽しんでもらえることを沢山すすめているという話なども、今までは聞く機会もなかった。選手会長になって、ゴルフ界のためにと、思って動いてくださる方々と、お互い協力してトーナメントを成功させたい、というお話をしたりする、そういうのも今まではなかったこと」。
二足のわらじを履いて狙う初タイトルは、きっとまた格別なものになる。

関連記事