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フジサンケイクラシック 2018

心優しいアトム。最終日こそナオちゃんの献身に報いるか

重永にはほんの数センチに救われ続けた土曜日だった。16番。この日は217ヤードのティを使ったパー3で、あわや池。
「僕は目が悪い」と状況は目視できなかったが、響き渡った悲鳴と歓声で、ピンチを知った。
7番アイアンで打ったティショットは、淵までほんの数センチのところで運良く止まった。足場が狭く、ロフトを立てて打ったアプローチはボールに勢いがつきすぎるのを警戒して寄らなかったが「3メートルをナイスパー」。命拾いをした。

他にもこの日は「ベタピン3回」といずれも52度で打った1番や6番、9番では2打目がほんの入りかけ。
「昨日までパットがくそだったので、嬉しかった」と楽々タップインの3バーディにも救われた。

13番では、10メートル以上もあるバーディパットに「外れた、と思って歩き出したコロっと入った」。最後のひと転がりにも喜んだが「優勝するゴルフじゃないって」。
ゴルフにしろ、体調にしろ、不調のない試合はないといってよく今季、国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」も毎日、何かしらの不安を訴えながら掴んだツアー初優勝だった。
「僕が絶好調なのは、プライベートの時くらい」。

ヒョロヒョロのアトムの後ろをけなげについて歩く富士桜のハウスキャディさん。愛称ナオちゃん。
「見た目ギャルですけど、いつもマジメで一生懸命で、すごく気を遣ってくれる」。
この日、上がって小雨の中では報道陣の質問に答えるアトムの後ろで、じっと傘を着せかけてくれた。
けなげな献身に報いる優勝を献上できれば最高なのだがアトムは「自分のゴルフで精一杯。どうやってこのコースでパーを奪うか。逃げてばっかで、人のことは二の次になっちゃう・・・」。
最終日の無我夢中は、どっちに転ぶか。

※当初、記述に誤りがございました。お詫びして訂正致します。