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マイナビABCチャンピオンシップ 2017

石川3兄妹の初日

弟の航(わたる)さんが、前半1アンダーで折り返した。「もちろん、チェックしていた。信じられなかった」と、ホストプロをつとめる兄も、弟の健闘に負けじと1アンダーで、前半を折り返したはずだった。

「11番のティショットとセカンドショット。12番のセカンドショットと14番のセカンドショットも。いい方向に行ってるな」と、つかみかけた途端に手応えは消え失せた。

「15番で、プッシュアウトが出た」と、右に大きく曲がった。ダブルボギーに沈んだ。
「16番も、狙いより40ヤードくらい右に行った」と終盤のパー3でピンから遠いほうのバンカーに入れて、ボギーを打った。

「ドライバーに気を取られ過ぎて、アイアンとかアプローチも良くない」と最後の18番も花道から寄せきれずに、6メートルのバーディパットを辛くも入れたが9年前に、プロ初勝利の雄叫びを上げたホールも弟と同スコアで上がるので、精一杯だった。

ツアー3戦目の航さんも、1オーバーで回った。
絶句した兄。「素直に凄いなと思う」と弟をたたえた。
尊敬する兄に褒められても「あんな下手なのに、よく1オーバーで回れたなという意味の凄いだと思う」と謙遜した航さんだが「スコア的にも内容的にも、今までのトーナメントの中では一番、いいゴルフが出来た。ショットが真っ直ぐ行った」。

兄が悔やんだ16番のパー3で弟は、スプーンで入りかけのティショット。ピンそばのバーディを奪うと、最後の18番では230ヤードの2打目をスプーンで左6メートルに乗っけてイーグルチャンスを迎えた。
惜しくも外したが、楽々バーディで「自分の実力以上が出た」と、無邪気に言った。

来季は大学進学も視野に、飛距離アップを目指して取り組んでいるスイング改造も順調だ。前半は「もしかして、通れるかも」と、初の予選通過に色気を出したほど。

12番では3パットのボギーも「自分の実力が出ただけ。しょうがないと切り替えて頑張った」。
キャディをつとめる姉の葉子さんと一緒に、笑いが絶えなかった弟の1日。

そして苦悩の兄。
「考えすぎだと言う人もいるかもしれないが、考えすぎるのが、自分の性格」。
懸命に復活を模索する手探りのラウンドは「打った瞬間、ちょっと右かなというミスの幅が(実際は)大きい。振り遅れてるんですけど、その原因がつかめていない」とラウンド中も、思わず顔がゆがむ。

「このゴルフの状態だと何に自信を持てばいいのか分からない。練習と試合を繰り返していくしかない。自分なりに一生懸命向き合ってやっていくだけ」。先週は、米ツアーからの帰国初戦から数えて2週連続の予選落ち。
兄には試練の2日目となる。