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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2016

藤田寛之は、コースレコードタイにも「最近、落ちぶれていますから」

弟弟子と一緒にコースに出た3日目は、バーディをひとつ獲るたびに、ギャラリーがますます増えていく。終盤は、まるで最終組と見まがうばかりの観客を引き連れて、盛り上がった。
「ミスして、別の面に乗ってもたくさん拍手を送って下さって。福島のみなさんは、暖かい」。声援に応えてベテランは、上がりホールでこそ魅せた。

17番で「1メートルは曲がる」。8メートルの長いスライスラインをねじ込んだ。18番は、奥から6メートルのフックラインで締めた。

13番では、最大のピンチをしのいだ。100ヤードの2打目は、グリーンの右にミスして、OBすれすれ。「1メートルのところでギリギリ止まっていた」と、安堵のパーを拾った。
ボギーなしの63は、コースレコードタイ記録で5位タイに浮上した。
「パットが、よく入ってくれた」。
先週のツアー外競技の北陸オープンで、師匠の芹澤信雄にもらったショットの課題もこの日は、うまくハマってくれた。

「宮本も5回くらいカップに蹴られて。あれが入っていれば、9アンダーくらいは出るゴルフをしていた」。弟弟子と共に、福島のファンを湧かせて久しぶりに充実の3日目を過ごすことが出来た。

2012年の賞金王は、数年前ならその存在感だけで若手をビビらせたものだが近頃の自身の調子を鑑みても「今はもう、落ちぶれていますから」と、苦笑い。
「最近の藤田は元気がないし、どうなんだろう?くらいで。驚異でもなんでもない。僕が若手なら、そう思う」と、どこまでも自虐的。

特に、現在は右手首にも故障を抱えて、「今の僕には優勝は、3段飛びくらいのところにあって。そこを見る余裕がないというか、無理をしたら怪我しそう」と首位との大量リードも無茶出来ないが、せめて「最後も格好いいところを見せたいです」。

ちかごろ最終日はいつも、「アクセル踏んでるつもりがブレーキを踏んでいた」。忸怩たる思いも、この日は福島の大ギャラリーに後押しされた。
「おかげでモチベーションも上がったので。明日はちゃんとアクセル踏んで、スピードが出せるように」と、47歳が気合いを入れ直した。

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