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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2016

2016年の賞金王の転機になった一戦とは

今年1勝目のパナソニックオープンが、福田さんとの最後の共同作業になった
特に終盤こそ谷原との抜きつ抜かれつの賞金レースで、池田がターニングポイントに上げた1戦は、アジアと日本の共同主管を制したパナソニックオープンでも、翌月曜まで持ち越したプレーオフ9ホールを勝ち抜いた「本間ツアーワールド」でも、先週は最終日が雨で流れた54ホールVの「カシオワールドオープン」でもなかった。

9月のANAオープン、今季6度の2位の先駆けとなった一戦だ。
「最後ボギーを打って、負けてケツに火がついたこと」。
ジョーンズに敗れてますます燃えたことが一点。
それと「福ちゃんがいなくても、2位になれたこと。そのことで、自信が持てた試合でもあった」。

今年、道具やウェアをすべて一新する中でも、シーズン半ばにふいに訪れたもっとも大きな転機が、7年半連れ添った福田央キャディとのコンビを解消したことだった。

それまでの全14勝を支えてくれた。「俺は、勇太以外は担がない」と約束し、「勇太と賞金王を獲る」とまで言ってくれた相棒と志半ばで別れ、9月のフジサンケイクラシックから何年かぶりに、ハウスキャディさんと組み、ANAオープンが2戦目だった。

内心は福田さんなしで、自分はやっていけるのかと疑心暗鬼の中で「優勝争いをして、2位になれた」。福田さんと組んでいたときは、何から何まで任せきりだったのが、元々世話焼きはむしろ、今度はこわもての自分に最初はおびえる様子を見せるハウスキャディさんたちを、上手く盛り立て懸命に足並みを揃えようとむしろ気遣う戦いの中で、確かな手応えの2位に「自信を持って、やっていいと思えた一瞬でもあったかと思います」。
“独り立ち”を自覚出来た大会でもあったという。

初の賞金王の瞬間に、その福田さんがいないのは、寂しくもありその一方で、「彼との別れが池田勇太という選手を、もうひと回り、大きくしてくれたのでは」と思い至ればむしろ、そのことでもまた恩人への感謝が増す。
「デビューして、翌年にはすぐに彼と4勝を挙げたり、彼がいてくれたからここまでこられた。彼には感謝しても、しきれない」。晴れの日に、恩人に改めて胸いっぱいの謝意を示した。

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