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長嶋茂雄INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2015

ホストプロ! マルちゃんが今季初戦

これで3年連続で、このホスト試合がその年の“初戦”となってしまった。国内ツアー通算10勝目を飾った2009年のゴルフ日本シリーズJTカップで得た複数年シードが切れたとき、その翌年は生涯獲得賞金25位内の資格を使って出場権を1年引き延ばすことも出来たが、あえて“凍結”したままカードを切るタイミングを見計らったのは、その資格を行使したところで、賞金シードを取り戻せるという確信を持つことが、とても出来なかったからだ。

持病の左手親指痛は、あらゆる手を尽くし、全国各地の病院を訪ね歩いてなお、今も確たる治療法は見つからないまま。この日のプロアマ戦でも、手のひらはまるでおたふく風邪にかかった子どものほっぺたのように膨れあがって痛々しい。「こんなに医療が発達した現代でも、ポジティブな診断をしてくれる人がいない。治療法も見つからないって言うんじゃあ・・・。もうこれは、自分の運命と思って、受け止めていくしかないよね」と、わざとさばさばと言って作ったマルスマイルもまた、痛々しい。

2004年の全米オープンは4位。2002年の全英オープンでは5位。今年もまた、いずれのメジャーでも、テレビ解説として当地に赴く生活も、もともと天性の話術とも相まって、もはや板についてきた感がある。

「今週はもちろん、土日もグリーンにいたいけど・・・。なんせ10ヶ月ぶりのツアーなんでね」と苦笑い。

この自身の今季初戦のホスト試合に備えて、体力キープのトレーニングを重ね、先週から北海道に入り、ラウンドを重ねて「体のほうはもう、パーフェクト。手意外はね」と持病と、久しぶり実践というハンディも加えて、「土日はテレビから、僕の声が聞こえたら、ああ残念だったんだね、と思っていただければ」。
予選落ちを喫すればまた、今週末もテレビ解説として、喜んでホストプロとしてのつとめを果たすつもりでいるマルちゃんだ。

米ツアーは3勝を誇る。丸山ほどの肩書きがあれば、年間6試合を上限に、主催者推薦のオファーは余るほど舞い込むはずだ。しかし、丸山はそれを潔しとしない。「今の状態ではそれを頂いただけの、パフォーマンスが絶対に出来ないと分かっているから。だって使いものにならないんだもの」。
3年前にはほのかな希望もあった本格復帰の可能性も「今はゼロ」。それが分かっていながら、大事な一枠を自分のために無駄に使いたくないという思いがある。「やっぱりね、俺が出た為に若い可能性のある子たちの権利が一個なくなると思うと・・・。出来ないよね」と、これだから丸山を慕う後輩は今も引きをきらない。
「ライフシード(永久シード)とか持っているのなら、また文句も言わせないとか思えるのだけど。今の自分がと思うと、やっぱり申し訳なくて」と、だから今年もこのホスト試合が今季初戦となった。
「所属先のセガサミーさんが主催するこの大会ならホストプロとして堂々と、ベストを尽くすと言えるから」と、健闘を誓った。
「10ヶ月ぶりに出て、優勝しますなんておこがましく言えませんが」と、大きなことは言わないが「せめて土日もグリーン上にいたい」と、せめて4日間の全力プレーで、日頃の恩に報いる。