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日本オープンゴルフ選手権競技 2015

劇的バーディ締めで連覇につなぐ! 池田勇太が2年連続の最終日最終組に

この3日間ともずっと抑えてきた感情が、最後の最後にほとばしった。14メートルもの長いバーディトライは「カップに届きゃいいや、というのが飛び込んで入った」。我知らず、歯を食いしばっていた。右拳を肩の辺りで何度も何度も、握りしめた。

「前のホールでかあっとなっていたからね」と、珍しくちょっぴり顔を赤くして、「その分がそのまま出た」。16番でカップに嫌われ、パー3の17番では「いいショットしたのに乗らず」と、憮然と迎えた18番ではこれまた「完璧」と自画自賛のティショットを打っても2打目をミスして、「またパーかあ」と諦めるのは早かった。

コンビを組んで7年目になるキャディの福田央さんと「フックスライス」と読み切った長い長いパットは、構えた瞬間になぜかふと、「入りそうな気がする」と、頭によぎって「そういうときっていうのは、イメージどおりに任せて打ったもん勝ち」。

この日は一時、4打差以上もあった首位との差も2つまで縮める1打は「けっこうデカい」。いや、けっこうどころか「食い下がり、なんとか行けるように頑張ろうと思える」。大会史上6人目の連覇達成に向けて望みをつなぐ、大きな大きなバーディ締めだった。

伝統の日本一決定戦の週末は、2人1組の“2サム”でのラウンドがならわしである。1対1のプレーは、もろにその影響を受ける場合もあり、最終組のひとつ前の組で、相対した韓国の黄重坤(ハンジュンゴン)とは、ややプレーリズムが合わずに、そのくせ後ろの小平とアマチュアの金谷さんは、「俺らがセカンドを打ったらすぐ、ティショットを打ってくるし、パットが終わったら、すぐにセカンドを打ってくるし」。

迫りくる最終組は、特に小平が14番から3連続バーディを奪い、嫌でもギャラリーの大歓声が聞こえてくる。「あ、またバーディかよ、あ、またバーディかよ、あ、またバーディかよ、って・・・」。
特に池田がグリーンを外して、4打差つけられた17番でも「向こうはまた入ったのかよ。俺は10アンダーだし、どんどん離されて、明日は蚊帳の外かあ・・・」と、一度は突き出されたように感じていたV争いも、18番の劇的バーディで2年連続の最終日最終組に名乗りを上げて、「これで明日は目の前で、プレッシャーをかけられる」。

同組でぶつかる3つ下の小平のイメージは「イケイケ」。老け込むにはまだ早い29歳が、なぜか遠い目をして「俺も若かりしころは、そういうときもありましたけど」と、懐かしい目は負け通しのここ4戦の影響もあるのかもしれない。

小平との2打差は「そりゃ、逃げるほうが簡単でしょうよ。追いかけるこっちはバーディ一杯獲らにゃいけんし」と3日目して、まだそろそろと歩いている。「明日は最後まで気が抜けない18ホールになると思う」と、連覇への道も手探りで進む。
「最後の結果を知っているのはそりゃあもう、上の方だけ」と、神のみぞ知る。「今週あたりはしゃーねえから俺に勝たしてやっかと思ってくれるのか、まだ早え〜ぞと思うのか。誰にもわかんないけど気持ちは絶対に入る。そりゃ入るに決まってるけど、明日も最初っから、カッカッカッて、気持ち入れてそれだけ終わっちゃったら面白くない」。最終日も自然とスイッチが入るのをじっと我慢の子で待つ選手会長だ。

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