いまはクラブハウスに飾られているブリヂストンオープンの優勝杯。ガラスケースの中で燦然と輝くカップを背に、「２年前に、もらいそこねた」と、恨めしげに「もらえるかな、と思った瞬間に、谷口さんに持って行かれました」。

あれは一昨年前のこと。最終日の最終ホールを首位で終えた藤田はもう完全に、勝ったと思った。と、すぐその直後に、もの凄い歓声が、18番ホールにとどろいた。

谷口がまさかのチップインイーグルで、土壇場の大逆転劇を食らって、敗退･･･。
あのとき取り損ねた優勝杯を、改めて眺め渡して「いいですね、欲しいです」とはいうものの、いま自分のゴルフを冷静に考えてみたときに、「優勝と、そこまでの気持ちは出てこない」と藤田はいう。

「優勝とかいうのはないですねえ･･･」。すでに、今年は３勝をあげておきながら、本人にはその実感すらないようだ。
「自分の中ではもう３勝したという感覚がまったくなくて」といいながらも、目下賞金ランク1位には、「もう45歳ですし、肩は痛いですし、他にいないの、僕はもういいよ、というか、僕にそんなに期待しないで、というか･･･」と嘆き事をいいながらも「目下、現実的な目標としては賞金王になることです」と、45歳が今週も、トップランナーとして歯を食いしばる。

• 藤田 寛之