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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2013

4連覇がかかる、藤田寛之

今年最後の頂上決戦を目前に、「僕も出ていいんでしょうか・・・」とは、いかにも謙虚なこの人らしい。昨年は大会3連覇を達成して、賞金王に上り詰めた。今年はディフェンディングチャンピオンとして4連覇の偉業がかかるが、それでもどこか、後ろめたい気持ちがするのは、昨年覇者以外に出場資格がないから。

今年から、今大会の出場カテゴリーが変わって、もともと狭き門が「ますます敷居が高くなった」。今年は4月には2年ぶりに悲願のマスターズに再出場を果たしたが、それに先立つ春先の猛特訓で肋骨の疲労骨折で出遅れた。

それを目標に頑張ってきたのに……。2度目の出場も44歳のベテランにはこの上ない喜びであるのには間違いないのだが、ひとつ思い当たるのが初出場を果たした2年前だ。
「あのときも確か同じような症状に陥った気がする」。

最高峰の舞台を目指して1年以上をかけて、高いドローが有利といわれるオーガスタに合わせて試行錯誤を重ねたスイングも、「残りシーズンへの後遺症が大きかった」と、前回の2011年も苦しんだ覚えがあった。
晴れ舞台から帰ってもケガと、ショットの不振と負の相乗効果で、思うような結果を残せず結局、シーズンの最後まで“復旧作業”にかかりきりとなった。

賞金ランキングも、連続のトップ10入りを果たしてきたここ6年を考えると、現在の29位では満足出来るはずもなく、不甲斐ない成績のまま終われない。
「ここで、また何かを思い出せればいいのですが」。
せめて、相性の良いコースで年の最後に“完治”の大きなきっかけを掴めれば。
ここ東京よみうりカントリークラブは、所属コースの葛城ゴルフ倶楽部と同じ、井上誠一氏の手による18ホールズであることも、「人よりパットが入っている要因かもしれません」。悩める44が得意の庭で最後にまた、メイクドラマで魅せるか。昨季の賞金王のプライドを、せめて最後に知らしめることが出来るか。

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