日本オープンゴルフ選手権競技 2013

甲斐慎太郎にビッグチャンス到来【インタビュー動画】

足裏のひどい痛みの影響で、2011年にシード落ちを喫した際は、「クサることも多かった」。父・稔さんの手ほどきでクラブを握り、アマチュア時代は日体大4年時に「日本アマ」と「日本学生」を制して2004年に鳴り物入りでプロ転向を果たした。「大好き」で始めたはずのゴルフ。

しかし2008年にツアー1勝をあげて、「自分の周りで大きなお金が動き出して、ゴルフで生活が成り立ってくると、好きだけではいられなくなる」。まして家族を持ち、子どもが出来れば、守るものも増えていく。

一度頂点を知った分だけ、ひとつ歯車が狂い出すと余計に足がもつれるような感じさえする。
シード権を守ろうとすればするほど、かえって裏目に出てしまった。
一時は出場権さえままならず、あんなに大好きだったゴルフに嫌気がさすこともあったが、「やっぱり僕は、ゴルフをするしかないので」。精神的にもたくましさを増して挑む、このゴルファー日本一決定戦だ。

2011年以来のシード権の奪回を目指す甲斐にはもちろん、もともと今大会の出場権はなく、大会独自の最終予選会も予選通過さえ出来なかった。「もう出られないだろう」と諦めていたが、欠場者が出て繰り上げ出場が決まったと連絡を受けたのは、開催週の前週の先週。
この2日間は、思いがけずに得たチャンスを最大限に生かしてこの日も最後の18番で、2,5㍍のバーディチャンスを逃さず、単独2位で決勝ラウンドに挑む。
シード権も失ったままの今は、「僕に守るものは何もないので。明日からも思い切ってやりたい」。32歳の中堅に、本来の伸びやかさが戻ってきた。

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