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キヤノンオープン 2012

片山晋呉は「ゴルフ人生でこんなのないよ」

本来の集中力を持ってすれば、怖いくらいに1球にのめり込んでいく片山だ。それだけに、こんな場面にはちょっと、お目にかかったことがない。スタートの10番ティからさっそく大声をあげた。

「しのぶちゃん! そっちはダメだよ。こっちの坂から降りよう。こっちこっち」と、過去5度の賞金王が、しきりに手招き。そればかりか、グリーンの旗持ち。喉が渇けばわざわざペットボトルのふたを開けてやり、キャディに手渡してあげるほどの親切ぶりだ。

選手自らキャディバッグを運んでやるシーンまであり、「ゴルフ人生でこんなのないよ!」と本人も苦笑した。
「長くゴルフやってる中で、こういうのがあってもいいよね」と、おかしそうに頷いた。

ひょんなことから、実現した女子プロの諸見里しのぶさんとの最強タッグ。
試合では、初めて人のバッグを担いだという諸見里さんは、「人生で一番勉強になりました」と小さな体から、充実感がほとばしった。

特に前半は、片山が1打における動作の意味や目的を懇切丁寧に解説しながらのプレーで「ここはこういうふうに打ってみるから」と言ったとおりに、面白いようにボールが飛んで行き、諸見里さんの口からは何度も驚嘆の言葉が飛び出した。

「男子プロが真剣にやっている姿をすぐそばで見て相当に、刺激があったと思う」と、そんな諸見里さんの様子を見るにつけても片山の表情にも、充実感がにじんだ。

ところで、本来のキャディとしてのアシストぶりについては、諸見里さんが自ら「80点」をつけたと伝え聞いた片山は、「けっこうつけたね」と、そこは吹き出し気味に「僕も、彼女も優勝の期間が空いているから。これをきっかけにお互いに火がつけば最高だね」と片山は、予選ラウンド限定のタッグの効果にも、ひそかに期待を寄せていた。

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