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ダイヤモンドカップゴルフ 2012

藤田寛之は「一度、先頭集団に飲み込まれてもいい」

8つのバーディを奪った前日2日目と比べると、この日は2アンダーと大人しいゴルフになったが百戦錬磨の42歳に焦りはなかった。「昨日に比べて難しいピン位置と、午後から風も吹いてきて、コースの難易度が上がってきている」。

状況を素早く察知して、そこに自分のプレースタイルを合わせていく。
「ピンをがんがんデッドに狙ったり、自分からミスをしにいくことはしないよう」。
3打差の首位からスタートしたことも、安全策を取るひとつの要因となった。
「自分が崩したら、道を明け渡すことになる」。しゃかりきになって、チャンスを作っていくというよりは、じっと耐えるゴルフに徹した。

その間に下から大量アンダーで、何人か選手が追い上げてきていたが、やっぱり焦りはなかった。
「確かに伸びている選手もいたけど。それを鵜呑みにしてはいけない」と、あえて仕掛けていくこともしなかった。
「ここは伸びる人と、落とす人でスコアの差が出やすいコース」と冷静に読んでいて、リーダーボードを見て慌てふためくこともなく、コースとの戦いに徹した。

最終日を前に、3打差を守ってこの日も首位に居座った。

「でも、僕はこのまま簡単に逃げ切れるタイプではないので」とのコメントに、悲観的な意味合いは一粒もない。
「勝負に絶対はないので」という言葉にも、マイナスの要素はない。
それは、数々の経験を経てきて到達した境地。また言葉を変えれば、ピンチに陥ったときにこそ、真価が発揮されるタイプだとの自負があるからだ。

「一度、先頭集団に飲み込まれてもいいかもしれない」と言ったのは、逆に追いつかれても、そこからまた振り切れる。「自分にはそういう力がある」と、自己評価をしているから。

今週は、月曜日に3年連続3度目の権利を勝ち取った全米オープンの最終予選で、プレーオフを含めて1日37ホールの長丁場をこなし疲れていないわけがない。

前夜もトレーナーに日課のマッサージを受けながら、眠り込んでしまった。「終わって、彼が部屋を出て行くまで気づかなかった」と苦笑する。
「今朝も7時まで、ぐっすり寝られた。疲れているのは疲れている。でも、それも良い疲れですから」。
心地よい倦怠感の中で、今季2勝目を狙っていく幸せを味わいながらの最終日となる。

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