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ダイヤモンドカップゴルフ 2012

藤田寛之がツアー通算13勝目

最終18番はピンそばのバーディ締めに一応はガッツポーズで歓声に応えたものの・・・
42歳が、嬉し恥ずかし今季2勝目。「はい、まさにそのとおりでございます」。恐縮しきりで頭を下げた。「今日のは1勝というよりも、0.8勝という感じで」。それでも、3打差から出た前半の9ホールはまだ良かった。一時は4打差つける独走で、「今季2勝目にふさわしいゴルフが出来ていたと思う」。

前日3日目に、自ら言った。「一度は先頭集団に、飲み込まれてもよいかもしれない」。その言葉が心中で、不吉に反響したのは後半の11番。ティショットでOBを打った。ダブルボギーも「ここまでは、まだ良かった」。
これまた前日に、「並ばれても振り切る力が自分にはある」と、言ったとおりに14番で、8メートルのバーディをねじ込み、再び突き放した。

しかし、その直後に「さすがに心が折れかけた」。
15番で144ヤードの第2打は、「左サイドを怖がって、必要以上にクラブが開いて当たった」と、右シャンクのOBには「予期せぬ出来事に、頭が真っ白」。2個目のダブルボギーに、「逆転されるイメージがちらついた。ダメかもしれない」と、弱気になった。

追走するアフィバーンラトも、14番から3連続ボギーと崩れたことで、辛くも逃げ切ったが「後半の自分は本当に情けない」と、手放しで喜ぶ気にはとてもなれない。
ヒーローインタビューでも言った。「男子の迫力あるショットをぜひ、現場に見に来て下さい」。
かくいう自分が、この日ばかりはそういうゴルフで魅了することが、出来なかった。
「なんとOB、シャンク。大失態をしてしまいました」と、改めて頭を下げた。「勝てたのは嬉しい。でもそんな自分がなんでここにいるのか。複雑でございます・・・」。

それでも最終18番は、第2打をあご近くのバンカーからひとまず脱出して、残り222ヤードの3打目は24度のユーティリティで、ピンそばに寄せた見事なバーディ締めが、せめてもの救いだ。
毎年、シビアなセッティングが特徴のこの伝統のサーキットトーナメントは今年も例年どおりの難条件を制した。

薄氷のツアー通算13勝目も、これで40歳を越えてからの勝ち星は7勝と、それ以前を上回り、19773年のツアー制度施行後としては、歴代6位の記録である。
初の世界メジャー出場は2005年の全英オープン。「すげーな、こんなレベルが高いんだ、と。ダメだ、こんなじゃ。もっとやらないと」と、もともと無類の努力家が自身にいっそうムチを入れるきっかけに。
「もっともっと上手くなりたい」。いっときも立ち止まることを知らないその積み重ねがいま、藤田を限界のない高みへと押し上げていく。

月曜日の全米オープン最終予選はプレーオフを含めて1日37ホールと、今大会は水曜日のプロアマ戦。そして本戦の72ホールは、1週間で計127ホール。加えて火曜日のトレーニングや、ホールアウト後の打ち込みも、「実は面倒くさい・・・。僕だって、そう思うことはもちろんあります」。
誰でも持つ怠け心。また「上手く行かないと、もう引退かもと思ったり」。
誰でも感じる将来への不安を振り払い、今日も小さな体を駆使して力の限りにクラブを振るのは「こんなに応援してもらって、みんなに支えてもらって、僕のゴルフを見てもらって、こんなに恵まれた環境にいて、何が不満なのか」と、そんな思いが常にあるから。

身長は168センチでも、人よりは飛ばなくても、「それが日本でも、世界でも、同じ人間がやっていること。出場するからには誰にでもチャンスはある。限界を決めるのは自分」との、強い信念を持っているから。

開幕から6戦目にして早くも2勝目にも「僕は遼くんのように、スーパースターでもなく、普通の選手。たいした選手じゃない」と、藤田は言う。「普通なのに、ここにいてもいいのかなと時々思う」と、本気で首をかしげる。「下手だからこそ、やるしかない」と、とことん厳しい視線の先には、あこがれのメジャー舞台が待っている。

全米オープンの資格はすでにある。この優勝で、今年もまた全英オープンも、全米プロにも出られる可能性が出てきた。もしかしたら、今季3勝以上をあげれば来年のマスターズにも、昨年に次ぐ2度目の挑戦が叶うかもしれない。
「日本人選手でも、あの舞台でやれるんだというのを見せることが、プロゴルファーの使命だと思っているので。普通でも、やれるんだというのを見せたい」。
その気概が42歳の底なしの向上心を支えている。

  • 後半はOBにシャンクに「非常に情けないゴルフ」と、宮本ら弟弟子の祝福の嵐にも複雑な心境は隠せない
  • 4日間で22バーディに、三菱食品提供の最多バーディ賞100万円まで手にして恐縮しきりの藤田は
  • 「次こそはピンにバチバチ、パットはがんがん入るゴルフをお見せしたい」と約束した。
  • 思わず悲鳴を上げるほどにずっしりと重いダイヤモンドカップ杯は、大会初タイトルに「僕向きのコースセッティングにしていただいて感謝します!」と・・・

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