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東建ホームメイトカップ 2012

額賀辰徳が首位キープ

前日初日の午後のラウンドとは一転、この時期の多度は朝夕は冷え込む。吹き付ける風も冷たい。「フィーリングも体の切れも、昨日とは違ってた。それが距離感のずれにつながった」と前半は「我慢のゴルフ」になった。11番でティショットをバンカーに入れてボギーが先行。16番では3パット。
しかし、このままズルズルといかないのが、これまでの額賀とは違う。

どこか余裕がある。堂々としている。2月から1ヶ月間も居座ったアメリカ。フロリダのタンパでは、2年前からコーチのリチャード・エイブル氏に師事する縁で、今年も今田竜二とラウンドする機会があった。定評ある小技の巧みさは、「見ているだけで勉強に」。さらに合宿の最後には、今田から「もう今年は大丈夫だろう」と、お墨付きももらえた。

初シードからわずか1年で陥落した昨オフにラウンドしたときには、とうてい聞けなかった言葉。
「気持ちが楽になった。今年もアメリカに行って良かったと思えた」と、レギュラーツアーへの復帰元年を前に、自信を取り戻して帰国したことも大きかった。

難条件に崩れかけても、自分に言い聞かす。「まだ2日目だぞ」。初日の首位発進は過去に1度あるが、「前はこんなに落ち着いてやれなかった」。後半から盛り返した。前日チャンスを逃したパー5では、「昨日とほとんど同じ距離だった」という3メートルのイーグルパット。「昨日は決め損ねたから。気合いが入った」と、しっかり沈めて、これで2日連続の首位キープも、「明日はまだ3日目。まだ2日もあるんだぞ、という感じですかね」と、相変わらず余裕の笑みだ。

28歳。30の壁を目前に、勝たなくちゃという焦りもない。「いや、もっと若いころのほうが焦ってた」。アマチュア時代はナショナルチームの常連だった。鳴り物入りでプロデビューを果たし、周囲の期待に応えなければとの重圧も大きかった。「若いうちにがんばらなければという思いもあった」。2009年から2年連続のドライビング王は、胸のすくような豪打を披露しながらも本人の心はどこか窮屈だった。

だがいまは、2010年のシード落ちも「転機」と、とらえる。
先の今田との出会いもそうだが、落ちてみなければ、得られないもの、出会えないものがたくさんあったと思える。「いまは、プレーヤーとして長くやっていきたいという気持ちもある」。
紆余曲折を経て、いよいよ大器が春の目覚めを迎えようとしている。

また、額賀に2打差の2位タイにつけている冨山聡(とみやまさとし)は中央学院大時代の先輩でもあり、普段は家族ぐるみのつきあい。冨山は「額賀を目指してやる」と話しており、決勝ラウンドは2人の激突も見ものだ。

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