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ダンロップフェニックストーナメント 2011

裵相文(ベサンムン)が今季最終戦

今年最後の1打は、最終18番の短いパーパット。丁寧に流し込むと、充実の表情が広がった。

同組の選手にこの1年をねぎらわれて笑顔になった。そして今年激闘の1年間を支えてくれた専属キャディの山根彰さんと、がっちり握手。健闘をたたえ合った。

現在、賞金ランク1位を走る男がこのダンロップフェニックスで今季最終戦を迎えた。

難攻不落の三好で大接戦を制した10月のコカ・コーラ東海クラシック。
久保谷健一とのプレーオフに勝った日本オープン。

どれも劇的Vには違いないが、なんといっても本人にとって一番の思い出は8月のVanaH杯KBCオーガスタ。

「日本で初めて優勝ができた大会だったので」。

それからわずか2ヶ月もたたないうちに、現在最多の年間3勝。シード元年の今季、飛ぶ鳥を落とす勢いは、まさに同大会から始まったといっても過言ではない。

母国の韓国ツアーでは08年から2年連続の賞金王も今季、日本でこの成績は「ただ、運が良かったから」と言って譲らない。
「強い選手がたくさんいる日本ツアーでこれだけ優勝することが出来たのは、運が良かったから」と、総括した。

「もし、このままなれたらそれも運」と、裵(べ)は言った。日本で初の賞金王も、この最後の1戦で今季4勝目なら心おきなく旅立てるはずだった。

しかし、この週は初日からグリーン上に精彩を欠いて、この日も2番で3パットのダブルボギーを打つなど、最後まで苦しんだ。
結局、通算2オーバーの31位タイでのフィナーレに、現在、ランク2位の石川との差は6453万6355円。

依然として有利な状況には違いないが、いずれも優勝賞金4000万円の2戦を残して、今週限りで日本を離れる。
このあとは、当初からの目標だった米ツアーのファイナルQスクールへの挑戦も、賞金レースをうかがいながらの戦いとなる。
「向こうで毎日インターネットでスコアを見てますよ」と笑いながら、かたわらの山根さんに、声をかけた。

「これから、少し良いですか?」。パットに不安を残したままでは、とても旅立てそうにない。
「もちろん、いいですよ」と、山根さんは微笑んだ。今年の好成績の要因について聞かれるたびに、「山根さんのおかげです」と、繰り返してきた。
今月27日に発つというアメリカも、この最強コンビで挑む。
どの選手も帰り支度に忙しい最終日さえ、目下最強の男は無二の相棒と2人で、パッティンググリーンでの調整に余念がなかった。

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