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VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント 2011

藤田寛之は「なんとしても、週末のテレビに映る」

藤田も4週ぶりの日本ツアーだ。今季はいわゆる世界4大メジャーで自身初の全戦出場。4月のマスターズを皮切りに、毎月のように海を渡って、アラフォーの星もさすがにヘトヘト。

「経験してみてやっと分かった。あの舞台でやるしんどさ、疲労の蓄積」。
まして、メジャー舞台で結果を出すことの大変さ。藤田は4戦で、すべて予選落ちを喫したから、なおさらだ。

「ああいうのを、ずっとやってきた人はすごい」と改めて、関心しきり。
「また、あそこで結果を出した人もすごい」と、自らも経験したからこそ実感出来ることもある。

2009年は、全米プロからの帰国直後にツアー通算8勝目をあげた関西オープン。よほどの理由がない限り、絶対に試合を休まない律儀な性格も、そんなわけでさすがに今年は“夏休み”をもらって、先週は1週間のリフレッシュ。

そうはいっても、週初めは山中湖での集中トレーニングに後半は、所属先の葛城ゴルフ倶楽部でのラウンド調整。
結局は、ゴルフ漬けの毎日ではあったのだが、実践からはしばし離れて「久しぶりにひと息つけた。こういう時間が自分には必要だった」と、良い休養になった。

藤田にとっては「メジャー中心の前半戦」。
そしてジャパンゴルフツアーはいよいよ、後半戦。
「体も元気になって、やっと日本を中心に考えられる。僕の今季の第2幕が始まった」と、前向きな気持ちも出てきた。

今は静岡県に住まいを構えるが、出身は今大会の地元・福岡県。古い知り合いも多く、「一番勝ちたい試合のひとつ」と毎年、相当の気合が入っていた今大会は、「40歳を越えて、変わった」と、以前ほどには鼻息は荒くない。

「意気込んだからといって、結果が出るわけではない」と、長年の経験から悟ったのもあって「優勝は時の運」と、そこは悠然と構えているが、それでもひとつ気合が入る材料がある。

72歳になる父親の寛実さんが、転んで左肩をひどく骨折したのは今月初め。
全米プロから帰国直後に、「入院中」と聞かされ仰天した。
だから毎年、応援に来てくれていた今大会も、病院のベッドの上で息子の“登場”を待つしかない。

寛実さんは常々言う。「お前が優勝したら、寿命が3年延びる」。
しかし、しばらく勝ち星が遠のけば、これまでの通算10勝でせっかく延びた寿命も、「縮んでいく」と寂しそうに言う。

「お前がテレビに映ることが、長生きの元だ」とも。
「まったく、余計なプレッシャーを与えてくれるものだから」と苦笑いを浮かべつつ、「だから今週は、なんとしてもテレビに映らないといけません」。藤田にとって、今年も今大会での優勝争いは、必須事項だ。

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