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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ パナソニックオープン 2010

甲斐慎太郎は「そろそろ頑張らないといけません」

ツアーも中盤を迎え、ようやく尻に火がついた。9番で、5メートルのバーディパットを決めて、ガッツポーズを握った。
インスタートのこの日は、最終ホールで「完璧に打ったティショット」。フェアウェイはど真ん中を捉えたと、喜んで行ってみると、思いのほか左サイドの木が邪魔だった。

7番アイアンを握った残り150ヤードの第2打は思い切り振り抜いて、左からのアゲンスト風を切り裂いた。「低いフックボールでグリーンを捉えた」。
ピンチをチャンスに変えて1日を締めくくっただけに、満足度もひとしおだった。

2008年に悲願のツアー初優勝をあげた「バナH杯KBCオーガスタ」で得た複数年のシード権も、今年限りだ。 それなのに元来がのんびり屋の29歳は、危機感がなかった。

「性格的なものもあると思いますが、今年の春先はモチベーションが低くて」。

まだシード権を持たなかった時代。2008年はやはりアジアンツアーと共催のパインバレー北京オープンと、さらに日本ツアーの三菱ダイヤモンドカップで単独2位につけたその夏に、悲願の初Vを達成。

「あのころは、海外志向もあり、やる気だったのに」。

同年9月に、長男・琉斗(りゅうと)くんを授かった途端に、骨抜きに。
子煩悩ぶりが加速した。
「子供と遊んでいるほうが、良くなってしまって。休みの日は、外に出る気がしない」。遠征中も、「早く家に帰って子供に会いたい」と、どこか上の空。

ゴルフに集中しきれていないせいか、今年は予選通過はするものの、17位より上に行った大会がなく、現在の獲得賞金は700万円あまりでランキングも64位と、ふるわない。

「そろそろ、頑張らないといけません」。
これまで6年のプロ人生にして、本人も「僕にしては珍しい」と正直に打ち明けた初日首位タイの好スタートは、いよいよ本気になった証だ。
「とりあえず、早く賞金1000万円を超しときたい」。
まずは仕事で稼ぐことが、父親の本分だ。

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