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梶川剛奨はシード元年の今年に

このオフは月の半分を、「江連忠ゴルフアカデミー」で過ごす。専属コーチの中島敏雅プロの師匠の“本拠地”で、スイング調整やトレーニングに汗を流す毎日だ。
「主に腹筋や股関節回りの強化ですね。1年間を戦い抜ける体力を作ることが一番の目的です」と、いよいよフル参戦の今季にむけて、余念がない。

昨年は賞金ランク48位に食い込み、38歳にして悲願の初シード入りを果たした。これまでのチャレンジ生活からようやく抜けだし、やる気満々かと思いきや、そうでもない。

むしろ、肩の力がほどよく抜けている。
2月19日から、東京・有明の東京ビッグサイトで行われていた「ジャパンゴルフフェア2010」。そのなかびの20日(土)に、所属先セガサミーのブースでホストプロとしてにこやかに、新しいゲーム機器のデモンストレーションで“案内役”を勤めあげた梶川。

人混みの中で、そんな夫をそっと見守る夫人の姿があった。
出場権に恵まれない時期も、陰に日向に支えとなってくれた静さん。

「今年こそ、彼女に優勝シーンを見せたいか、ですって?! いえいえ、そういう気持ちは全然ありませんよ」と、梶川は笑顔で首を振る。

不遇の時代も応援してくださった多くのスポンサーに対しても、「恩返しをしなければ、というふうには考えてはいません」と言うが、それらはもちろん本心ではない。

過去の経験から痛感している。
「誰かにためにゴルフをすると、きまって余計な力が入って空回りする。自分に“重し”を乗せると、いいことはないんです」。

それよりも、ただひたすら無心に目の前の1打に向き合うこと。
そうすれば、必ず結果がついてくることを、学んだのが2009年。
そしてそれこそが、恩返しへの一番の近道であることも、分かっているからだ。

昨年は、2度の優勝争いで念願を叶えた。
特にコカ・コーラ東海クラシックは、あの石川遼と池田勇太との三つ巴の戦いで盛り上げた。

「今年は優勝争いを3回することが目標です。そう、去年よりひとつ多く出来ればいいかな、とね。そして、2年連続のシード権を確保します」。
そんな堅実な目標もまた、夢実現への近道ということなのだろう。

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