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東建ホームメイトカップ 2004

劇的逆転Vで、藤田寛之が2004年ジャパンゴルフツアーのチャンピオン第1号に!

最終18番ホールのバーディチャンスは、強気のストロークでジャストイン。普 段から「僕のレベルはまだまだ低い」などと、いつも控えめな藤田には珍しい、力強 いガッツポーズが飛び出した。
「いちばん嬉しかったのは、ファンのみなさんの期待に応えられたこと!」
劇的逆転Vで、藤田寛之が2004年ジャパンゴルフツアーのチャンピオン第1号に!
藤田には、今でも思い出したくないゲームがある。95年のポカリスエットよみうり オープン。最終ホールでバーディチャンスをショートして、エドアルド・エレラに1 打差で敗れた。そのとき、ギャラリーからこんな声が飛んだ。「届かなきゃ、入らな いぞ!」。負けたこと以上に、ファンの期待に応えるようなプレーができなかった自 分を恥じた。
「ほんとうに悔しくて、いまでもあのときのVTRは、見たくない」と、振り返る。
だが、この日の最終日、最終ホールで思い出したのはほかでもない、あのときのよみ うりカントリークラブの18番ホールのことだった。
当時の失敗は繰り返さない。「絶対にカップに届かせようと思って打った」ピン手前 5メートルのバーディパット。1打差首位のウィは、約1.5メートルのパーパットを残 していた。藤田が、先にバーディを決めれば、少なくともプレーオフには残れるとい う場面。激しいプレッシャーで手が「他人のみたいに、ブルブルと震えていた」。
それでも平静を装って、普段よりうんと念入りに読んだラインは、カップ左ボール1 個分のスライス。「ショートだけはしない」と誓って打ったパットは勢い良く、ど真 ん中からカップに沈んだ。
沸き起こる大歓声。満員のギャラリースタンドから、声援が飛ぶ。
「藤田、かっこいいよ!」
「最高っ!」
「追いついたぞっ!」
その声に気おされたようにウィはパーパットも、さらに返しの短いボギーパットさえ も外して、プレーオフにのぞむまでもなく、2打差の2位に沈んだ。「優勝したことも嬉しい。だけどもっと嬉しいのは、最後の最後に、ファンのみなさ んの期待に応えるプレーで、大会を盛り上げることができたこと。アメリカのツアー でも、めったに見られない好ゲームだったと思う。今回の試合は、誰にビデオを見て もらっても恥ずかしくない。…むしろ、たくさんの人に見てもらいたい、僕の人生に おけるベストプレーですね」。
飛ばないかわりに、今回のように強風下などの難しいコンディション時に粘りを発揮 し、巧みなアプローチとパターで、スコアを作るのが藤田のプレースタイルだ。「飛 距離は、道具もあるけれどある程度は天性のものだから」と割り切って、普段はより 自分の長所を伸ばせる小技やショットの精度をあげる練習に時間を割いている。が、 それにしても、V争い終盤の爆発力が足りないことが、ずっとコンプレックスでも あった。「大事な場面で、期待どおりのプレーができる選手になること」が、目標の ひとつだった。
この日は、バック9に入って12番から3連続バーディ。16番でボギーを打って「今日は 自分の流れじゃない」と、いったんは諦めかけた展開から17番、18番の連続バーディ で劇的な逆転優勝。2004年の開幕戦を飾るにふさわしい、好プレーを演じた。
「なんだか自分が自分じゃないみたいだけど…。やっぱり僕なんですね」と、終了後 は本人もしばらく放心状態。
「今回の優勝で、自分のスタイルが確立されつつある気がする。この4勝目は間違い なく、僕の財産になる」。控えめなコメントばかりが目立った過去3勝とはうってか わって、威勢の良い言葉が、今季のチャンピオン第1号の口から何度も飛び出した。

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