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ダンロップフェニックストーナメント 2006

片山晋呉「どんな困難にも打ち勝ちたい」

2000年の歴代チャンピオン、というだけではない。ここフェニックスは片山にとって、特別な場所だ。
隣のパブリックコースのトムワトソンコースで合宿を始めたのは5年前。以来、オフのほとんどを宮崎で過ごすようになった。
3年前には練習のラウンドの合間に、施設内のデビッド・デュバル・ゴルフアカデミーでジュニアレッスンも始めた。

「そのときの子が、高校生になってジュニアの大会で優勝したとか・・・そういうことを聞くと嬉しくなる」。
教え子たちの話になると、自然と笑顔がほころんだ。

とりわけ今年のオフは、滞在70日以上。スイング調整と体作りに励んだ。
昨年シーズン終盤に背中を痛め、今大会から残り3試合を棒に振った。
辛くも2年連続の賞金王に座についたものの、後味の悪さは拭いきれなかった。
そんな自分の悔しさ、不甲斐なさを全部ぶつけた、この冬の2ヶ月間だったのだ。

宮崎でのあの日々があるからこそ、今年はリーダーとして好発進ができる。

例年以上に深いラフ。ティフトンに、ペレニアルライグラスという種をオーバーシードした洋芝は、いっそうクラブヘッドに絡みつく。
さらに傾斜のある高速グリーンに難しいピン位置。
加えてこの日は、強い風が吹いた。

タイガー・ウッズが舌を巻いた。
「この日、このコンディションでシンゴの5アンダーは素晴らしい…」。

出だしの10番で3メートルのパーパットを決めて、「気持ちよくスタートが切れた」。
18番で8メートル、2番でエッジから10メートルをねじ込んで、同じ組のパドレイグ・ハリントンが言った。
「一緒に伸ばして行こうぜ!」
「・・・と言っても僕は英語が詳しくないから。実際の言い方は違うかもしれないけれど、そんなニュアンスのことを、何度も話しかけてくれたんです」。

今年の欧州ツアー賞金王の励ましに、ますます気分が高まった。

賞金総額は国内最高の2億円、優勝賞金は4000万円。
もし勝てば、最終戦を待たずに3年連続の賞金王が決定する。
「タフなこのコースでは、この先難しいことがたくさん出てくる。でも、どんな困難が来ても、それに打ち勝ちたい」と、片山は言った。

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