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カシオワールドオープン 1999

首位タイにつけた片山晋呉の、ユニークなパッティングスタイルが観客の目を惹いている

今週から使い始めたダンロップ・ゼクシオシリーズ(来春市場発売予定)のアイアンの切れ味にものを言わせ、初日の44位から浮上してきた片山晋呉だが、ショット以上に観客の興味をひいてるのが、ユニークなパッティングスタイルだ。
 14番、411ヤードのパー4で、ピン上7メートルを沈めたときにも、ギャラリーから「あのおもしろいパッティングスタイルで、あんなに長いの入れちゃうのね」との声が聞こえていた。
 右手でしっかり握り、左手をその上からそっと添えるような変則グリップ。
 片山によれば、「ビリヤードでキューを握るときの持ち方を、そのままパットに当てはめたような感じ(=写真参照)」という。

 このグリップを発案したのは、ツアー初優勝をあげた昨年8月のサンコーグランドサマーから。
 「ボクは飛距離で勝負できるわけでもないし、強烈な個性があるわけでもない。そういう人間が、どうやったらファンにアピールできるかいろいろ考えて、このスタイルをあみ出した」そうだ。

「お客さんに、『あれ、あのグリップってなんだろう』とか『あれは何ていう選手なんだろう』と、まずは注目してもらい、次からは名前も覚えてもらえたりしたら嬉しい」と語る片山。

 グリップだけでなく、片山は、普段の練習方法もバラエティに富んでいる。
 スタート前とホールアウト後は、「左右の体のバランスを整えるために」と、利き打ちとは逆の左打ちで、器用にボールを飛ばす。
 また、練習グリーンでは、「考えすぎるより、思ったまま・見たままの“本能”を大事にできるように」と、片手だけでグリップを握り、器用にカップにほおりこむという練習を積んで、スタートする。試合中だけでなく、練習場でも見ごたえたっぷりの選手だ。

 迎える最終日は、「優勝はしたいけど、『優勝したい』と思って優勝できるほどゴルフは甘くない。とにかく明日は無欲で挑む」。
 通算ツアー3つめの優勝で、“片山”の名をアピールするときがきた。  

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