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カニトップ杯チャレンジトーナメントII 2006

初優勝した大前和也。「完璧を求めず謙虚に」。

優勝を争った森田徹と握手する大前
大前は前週まで、出場したチャレンジトーナメント14戦で、予選落ちが8回、最高順位が24位、賞金ランキングは100位以下と振るわなかった。

しかし、今週は違っていた。

同じグループのゴルフ場に所属する中尾豊健プロから、「練習できていない自分は曲がって当たり前という気持ちで」というアドバイスをもらい、「完璧を求めず謙虚に」挑むことにした。

これが大前を変身させた。
本人は、「先週までと今週とで何も変わっていない」というが、この考え方がゴルフ技術ではなく、大前の「心」を変身させたのだ。

前半、2番ロングでバーディを取った後、3番と6番でボギーとしてスタート時点から1歩後退し、一時逆転した森田に並ばれる。
しかし強い「心」を持った大前は、9番、11番のバーディで後続に差をつけると、16番でのピンチをボギーで耐えて17番をバーディとして初優勝を「確信した」。17番は「バーディをとってやろう」という気持ちで7番ウッドを握り2メートルにつけ沈め、18番も「イーグルを取るつもりで」、ティショットをフェアウェイど真ん中に打てた。
これまでは「完璧を求めすぎてグリーンを外してもチクショーと思っていた」という大前は、この日のプレーでは一喜一憂せずに、常に前向きに、そして攻めた。

単車が趣味という大前は、レーサーへの憧れを持ち、「高校を卒業したらレーサーになろう」と考えていた。しかし16才のときに父親からゴルフを勧められて始め、これがきっかけで大学進学に進路を変更して、山口県下関の東亜大学に進みゴルフ部に入った。
しかしこのゴルフ部が「半端でなく練習が厳しく」、その効果もあって大学3年生くらいから実力がついてきて「頑張ればいけるかな」とプロの道を目指した。大学4年生の時には、中四国学生マッチプレー選手権に優勝するなど、実績も伴ない自信もついてきた。

そして2002年にプロの世界へ。

しかしプロの道は甘くなく、これといった活躍はできなかった。
今年はチャレンジトーナメントへの出場権を得て、「経験のつもりで」出場していたが、それが初優勝という大きな収穫に。

大前は「やればできるんだな」と実感した。

この優勝で大前の賞金ランキングは、圏外の100位以下から一気に7位へ。
来季前半のツアー出場優先権が得られる5位以内へあと一歩というところに来た。

この優勝を「苦労をかけている奥さんに伝えたい」という大前。
残りのチャレンジトーナメント2試合に向けて、「思い切って行く。自分が自分に勝つこと、そして耐えること」と目標を掲げた。

奥さんと3才の娘さんのためにも、残りの2試合で大前は強い「心」を武器に猛チャージをかける。

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  • 優勝スピーチの様子
  • 折り返しの10番でのティショット

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