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久光製薬KBCオーガスタ 2002

「今知りたいのは、決勝でいかにスコアを伸ばせるか、ということ」

ー本格参戦2年目の中島敏雅が、自己ベスト順位の3位タイで決勝進出

 “ツアーの壁”をひとつひとつ打ち破りながら、懸命に、歩を進めている。
 この日、強風の中、5バーディノーボギーでまわり、通算6アンダー3位タイに浮上した中島だ。

 ツアー本格参戦1年目の昨年は、11試合に出場して、一度も、予選通過できなかった。
 初体験だった、トーナメントのグリーンは想像以上に速く、茫然自失。「ビビってしまってラインが出せず、1メートルもない距離さえ、打ち切れなかった」。
 結局、一度も、フィーリングがつかめないまま、シーズンが、終わってしまった。
 「いやあ、あれはほんとに、ショックでしたね。オフは毎日、鬼のようにパットの練習ばかりしましたよ」
 おかげで、再挑戦の今季は、あんなに恐ろしかったグリーンにもすっかり慣れて、「なんとも思わなくなった」と、ここでひとつ、壁を打ち破った。

 また、今季初戦のマンシングウェアKSBオープンから3試合で予選落ちが続き、「このまま、永遠に通らないんじゃないか?」との不安にかられたこともあったが、4試合目のタマノイ酢よみうりオープンで、「めちゃめちゃシビレながらも、突破できた」ことで、“予選”の壁も打破。
 今季は、これまで4試合で予選通過を果たし、「少しずつだけど、予選通過のコツみたいなものも、わかってきた」と、話す。

 ミズノオープンでは、最終日に伊沢利光とのラウンド。初めて、大ギャラリーの前でのプレーに大いに興奮した。
 「すごく良い勉強になった。伊沢さんには、どんな状況でも、ガーっと振りぬいてゆく潔さみたいなものを、見せてもらったと思う」
 普段、高校(東京学館浦安)大学(日大)の1年後輩、今野康晴と行動をともにしているが、その今野は、7月に2週連続Vを達成。
 「とても感動したし、そのあとも、ヤスには、優勝争いの考え方や、そのときの興奮などを聞かせてもらった。僕も、いつかそんな経験をしたい、と強く思った」と、トッププレーヤーたちのゴルフに大いに刺激も、受けている。

 今、中島が打ち破りたい“ツアーの壁”は、「決勝ラウンドの、ゴルフ」
 予選ラウンドでの「意識の持っていき方」は分かったが、中島が、さらに知りたいのは、その先だ。
 「最終日に、いかにスコアを伸ばせるか。トップの人たちがどんな意識をしてそれをやっているのか、それが知りたい」
 3位タイの自己ベスト順位で大会を折り返した今週の闘いが、ひとつのヒントになることは、間違いない。

※ 中島敏雅プロフィール

 東京学館浦安高時代、父・忠雄さんの影響で、クラブを握る。当時の同期には、現在、米ツアー参戦中の横尾要、1年後輩に今野康晴がいた。
 その後、名門・日大進学。そこでも、同期には横尾のほか、片山晋呉、宮本勝昌ら強豪がひしめき、中島は、さしたる成績は残していないが、「あまり、細かいことにはこだわらない性格はプロ向き」と、99年に、ツアープレーヤーの道へ。
 2000年のファイナルQTランク26位。昨2001年は同ランク36位で、ツアー参戦。師匠はプロコーチの内藤雄士さん。PGAの資格認定プロテストには、まだ合格していない。

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