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サントリーオープン 2001

「僕は独りじゃない、って思えた」

片山晋呉を勇気づけたメールと納豆

 最終日前日の夜、片山の携帯電話に、1通のメールが届いた。
 「勇気を出して、晋呉も逃げ切れ!」
 差出人は、古くから交流があるという、巨人軍の清原選手からだった。

 清原選手は、いま、セ・リーグの打点部門でトップを驀進中。
 そんな自分の立場になぞらえながら、
 「晋呉は、今日1打差で最終日を迎えるわけだけれど、後ろにはビッグネームが名を連ねている。プレッシャーはあるだろうけど、晋呉には、いま大きな波がきていると思う。俺も“打点王”目指して頑張っているから、勇気を出して晋呉も逃げ切れ!」とあった。

 そんな内容のメールが届いたのはもう、夜中を過ぎていたが、清原選手の暖かい心遣いが嬉しくて、片山は、しばらく眠れなかったという。
 「僕はひとりじゃない、って思えた。清原さんには、大きな勇気をもらいましたね」

 片山は勝ち星を挙げるたび、周囲への感謝の気持ちを忘れない。
 「メンタル、スィング、フィジカル、キャディも含めて僕がゴルフに集中できるのは、彼らスタッフのおかげなんです」

 家族、友人、知人の支えも大きい。
 片山は、優勝インタビューでこんな微笑ましいエピソードも披露した。
 先週3日間、北海道ニセコに滞在し、渓流釣りなどでゴルフを忘れ、リフレッシュを図ったときのことだ。
 友人と、楽しいひとときを過ごし、その別れ際、友人の一人が片山のキャディバッグに内緒で、“納豆”を忍ばせた。
 それも、ただの納豆ではない。
 北海道名産の“十勝納豆”。
 次に片山が勝てば、区切りのツアー10勝目。“10勝”と“十勝(とかち)”をひっかけて勝利を祈る、友人の「粋な」(片山)はからいだった。
 「すごく、嬉しかった。納豆のおかげで、気分よく、10勝目を狙えたと思う。・・・ただ・・・」と、思い出し笑いで片山は続けた。
 「僕、しばらくその納豆に気がつかなくて・・・。今週、大会2日目に、キャディと『バッグの中が、なんか匂うぞ』って。開けてビックリでした。・・・今日まで、ロッカーにしまっておいたんだけど、さすがにもう、食べられないね(笑)」。

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