記事

エリートグリップチャレンジ 2025

千葉生まれ、岡山経由、マレーシア育ち。岡田絃希がやっと手にしたツアー初優勝

兵庫県のゴールデンバレーゴルフ倶楽部を舞台に行われた『エリートグリップチャレンジ2025』のファイナルラウンド。

最終組の3組前、首位とは2打差の4位タイからスタートした岡田絃希が3アンダー69でラウンド。通算7アンダーでツアー初優勝を見事な逆転劇で飾った。

 

18ホール中16ホールで池が絡むゴールデンバレーゴルフ倶楽部で3日間通して池に一度も入れなかった。

「今週は池に入れずにダブルボギーがなかったのが大きかったですね。でも池のプレッシャーは毎ホール感じていました。特に今日の上がり5ホールはセイフティにいきすぎて、パーを獲るのも必死でかなりきつかったですね」。

 

今週は優勝を狙っていないわけではないが、まずはACNツアーでのランキング20位以内を確定させることが第一目標だった。それだけに優勝争いの中にいる認識はあったが、1発の池で今週積み上げてきたものが台無しになると思うと体がこわばった。

「最終ホールは3打目を寄せてバーディを獲れましたが、あれも実はグリーン奥のボードを見てトップが百目鬼さんの7アンダーで、2位以下が5アンダーだったので、自分がー7で上がれば2位は確定すると思いながら打ったアプローチだったんです」。

岡田がアプローチを打つときに百目鬼はダブルボギーを叩いていたため、実際はボードが変わっていなかっただけで、実は単独トップに立っていた。トップに立っていることを知った上でアプローチを打っていたらどうなっていたかはわからないが、ある意味で岡田に勝つ流れがあったということだろう。


 

岡田は千葉県生まれの28歳。中学2年の時に岡山県に移り作陽高校に進んでいる。実は父親がゴルフをさせるためによりいい環境をと岡山県の作陽高校の噂を聞き移住を決めた。要は子どものゴルフ環境のために自らも岡山の会社に転職したわけだ。その後、高校2年の時に父親の仕事の関係でマレーシアに移っているが、これも実は父親がマレーシアのゴルフ環境がいいという話を聞いて、それで異動願いを出したという経緯がある。スパルタ教育というわけではなく、子どもがゴルフに打ち込める環境を探し求めていただけだ。ただ、いささか振り回れている感覚は子どもの頃はあったのかもしれない。それも今となってはいい思い出で、そんな父親の行動に心から感謝している。

 

今は岡山を拠点にツアーを転戦している。今年の目標はもちろん優勝することだったが、改めて勝つことができた感想を聞くと「本当に気持ちがいいですね」と安堵の表情を浮かべていた。試合に出られない時にはPGAツアーの3部ツアーに挑戦したり、アジアにも挑戦した経験がある。どんな状況に置かれても自分にとっての最善を探す行動力は父親譲りなのかもしれない。

「来シーズンの仕事場を確保することができたので、あとはレギュラーを含め、再来週のACNツアーの最終戦でも優勝を狙ってゴルフをしたいと思います」。

この優勝は誰よりも父親が喜んでいることだろう。


 


関連記事