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谷口徹、母校に帰る!!(1月20日)

奈良県・橿原(かしはら)市立耳成(みみなし)南小学校の門をくぐるのは、卒業し て以来。もう、25年以上も前のことだ。あのころの記憶は、もうほとんどないと思っ ていた。しかし思い出は、校庭に足を踏み入れるなりあざやかに蘇ってきた。

野球やサッカー、バスケットボール。 時間を忘れて、友達と夢中で駆け回った日々。 あのころは走っても走っても、端っこまでなかなか辿り着けなかった運動場。

「・・・そうそう。ここで毎日、陽が暮れるまで遊んでた」。



講堂で、在校生たちと校歌を斉唱したとき、歌詞が自然と口をついて出た。 「忘れている、と思っていたのに。意外と覚えていたのには、自分でも驚きだった。 歌と一緒に、昔の自分を、思い出しましたね」。

2002年に賞金王。一昨年前には深刻な病いを克服し、日本オープンのチャンピオ ンに。

その輝かしい功績が評価され、昨年は地元・橿原市長から感謝状も贈られた。 名実ともにトッププレーヤーまで登りつめた谷口が、“後輩”たちにプレゼントを携 えて、母校のグラウンドに帰ってきた。



この日1月20日(金)、谷口は橿原市立耳成南小学校にスナッグゴルフのコーチング セットを寄贈した。 「たくさん賞金を稼いで、社会貢献に役立てたい」。口癖のように語っている夢を、 またひとつ実現した。

講堂で寄贈セレモニーを行ったあと、自らも校庭に出て子供達の輪の中に入っていっ た。

13歳のとき、自分がたちまちゴルフに虜になったときのように。子供たちにもその楽 しさを知るきっかけを持ってほしい。その一心で、手取り足取りの実技指導。

昼食時には教室に入り、4年1組の生徒に混じって給食を囲んだ。 午後からは5年生の学習会に参加して「プロゴルファーの仕事」という講義も行っ た。



校内を移動するたび、拍手と握手の嵐。 子供たちが目を輝かせて、口々に谷口に質問を浴びせかける。

そのひとつにこんな問いがあった。 「谷口選手が、プロとしての誇りを感じるときはどんなときですか?」。

「在校生のみなさんと、こうして一緒にスナッグゴルフができること。みなさんに、 ゴルフの楽しさを伝える機会を与えられたことに、プロとしての誇りを感じていま す」。

迷わず、そう答えたのだった。