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ISPSハンダグローバルチャレンジカップ 2016

中里光之介、初優勝の裏には偉大な先輩からのメッセージ

『ISPSハンダグローバルチャレンジカップ』は中里光之介が逃げ切り、自身初のチャレンジトーナメント優勝で幕を閉じた。

最終日は優勝のプレッシャーからか、前半はボギーが先行する耐えるゴルフとなった。
後半の出だし10番ホールでこの日2つ目のボギーを叩いてしまい、前日の勢いはどこへやら。
そんな状況で自分を奮い立たせてくれたのは、偉大な先輩“石川 遼”からいただいたLINEのメッセージだった。

石川との出会いは、恩師である吉岡徹治氏に誘われ入学した杉並学院時代に遡る。同じゴルフ部の先輩、後輩には、今ではプロとして活躍を続ける宇佐美祐樹、薗田峻輔、櫻井勝之、浅地洋佑そして石川 遼とそうそうたる名前があった。中でも石川 遼がアマチュアながらにツアーで優勝を挙げたことが大きな刺激になり、中里自身にプロへの道筋を見出してくれる存在になったという。

腰痛の怪我から、休養に専念するため帰国した石川に再会し、LINEを交換したという。
2日目を終え単独首位に立った中里には目に見えないプレッシャーがあったのだろうか、無意識のうちに偉大な先輩へLINEのメッセージを送信していた。「いつも先輩は優勝争いをしていますが、その時はどういう気持ちなんですか?」と。

すぐに返事がきた。「優勝することは大事だけど、優勝に向けて良い緊張感の中でやれることが大事なんだ。その結果、優勝すれば自信になる。負けてしまったら、そこから上手くなるだけ。楽しんで!」幾多の優勝争いを演じてきた偉大なる先輩からの言葉に奮い立たされた中里は、12番でバーディーとすると、4連続バーディーを奪い、一気に2位以下を引き離した。

最終18番ホールで、同伴競技者の佐藤えいちから「おめでとう、もう優勝は決まりだね」と言われた瞬間、今まで意識をしなかった“優勝”の二文字が頭のなかを駆け巡った。
「緊張することは分っていたんです。それでも緊張感に飲みこまれないように、いつも通りのリズム、スイングを最後まで貫き通しました」と話す。

最後のウィニングパットを沈めると、グリーン脇で待ち構えていた浅地洋佑が「先輩、おめでとう!」と祝福した。1つ年下の浅地は中里がゴルフを始めた頃から一緒に切磋琢磨してきた親友でもある。プロとしての実績はリードされていたが、これで肩を並べることができた。何より、自分の初優勝を素直に喜んでくれる親友に感謝した。
先輩であり親友の優勝に浅地は「これで鶴舞カントリーを杉並学院が制覇しました。2012年に西コースを自分が。今年の東コースを先輩が」と満面の笑みで話し、お互いが握手をした。

最後に中里は「レギュラーツアーにも出場できるチャンスがある。今年1番の目標は『ゴルフ日本シリーズ JTカップ』に出場することです」と力強く話した。
それは紛れもなく「レギュラーツアーでの優勝」を意味している。

今年の最終目標に向け、これからの中里から目が離せない。

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