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三井住友VISA太平洋マスターズ 2015

とっておきの話はまだお預け! 片山晋呉は美味しい話は最後まで取っておく

虎ではなく、熊だったのね・・・
この日の片山は、まさに「能ある鷹は爪を隠す」。前半は、ずっとパー。「チャンスがあったのは、1番くらいで。あとはずっと、普通な感じでやってました」と6番では、2打目を池に入れたが、打ち直しの4打目を、ピンそばにつけてさらっとパーであがって、別段ジタバタすることもなく、じっと息をひそめて待っていた。

「いま、自信があるから何も不安じゃない」。
チャンスは折り返して10番から、やにわに来た。3メートルのこの日初バーディから、11番では4メートルを沈めて、連続バーディを奪うと、じわりと浮上。
「ここぞという時に、よいパーパットも入っている」と、16番から立て続けにピンチも拾って迎えた18番は、230ヤードの2打目を5番ウッドでグリーンの奥の傾斜にぶつけてピンに寄せた2008年の歴代覇者。
5メートルのイーグルチャンスは惜しくも外して、思わず苦笑いも「この2日間は、ノーボギーですから」と、胸を張る。
9月の声を聞いてから、好調が続いており、「まだ勝っていないということを除いたら、凄く良い2ヶ月くらいを過ごしていると思う」と、あとは勝つばかりというタイミングで、3日目にしてとうとう本人は嫌がっていた、バッバ・ワトソンとの直接対決。

でも「変わらないよ。別に」と、マイペースを決め込むつもり。「だって、背が5センチ伸びたりすればいいけど、変われないもん。膝が痛いのも、成長痛ならいいけれど。歳のせい」と、カラカラと笑った。

この日の御殿場は、上がりホールで急に気温が下がって、キャディバッグから取り出したミトンは、肉球付きの虎の手?
「いや、熊かな・・・? 分かんないけど」とニコニコと、18番グリーンでは熊手のままギャラリーに手を振って、女性ギャラリーから「可愛い!」の歓声が上がった。初日にとっておきのエピソードがある、と話していたがこの日もお預け。
「とっておきの話はまた明日。能ある鷹は、爪を隠すというでしょう?」。
18番のミトンは、寒さをよけるためだけではなかった。

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