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カシオワールドオープン 2016

池田勇太は今季3勝目も、賞金レースは最終戦に持ち越し

前夜から降り続いた大雨のせいで最終日が中止となり、この日は結局一度もコースに出ないまま、72ホールで決着がつけられなかったのは残念だが、「優勝は優勝ですので。しっかりいただいて帰ります」。

同時に2つ先輩の正岡のシード権が確定したことも、またいっそう感慨深い。
先週は、ケプカとの善戦もまた今季5度目の2位に悔しい思いをしたばかりだが「やっと勝てた」。今年は賞金1位で帰ってきた高知。思い出の黒潮。「ここで、やっと今季3勝目があげられた」。

2002年。「あれは高校2年の時でした」。
高知国体で、初めて訪れたここkochi黒潮カントリークラブとは、「縁がある」。
翌2003年は高3で、やはりここで行われたファイナルQTに挑戦。
初めて門を叩いたプロの舞台は6日間の長丁場も、予選カットの「4日間で散って大学に行くことになりました」。
“強豪・福祉”で揉まれて、磨きをかけて、今大会はデビュー年の2008年から参加。それから2度のV争いも「どちらも逆転負けを食らった」。
2010年には松村に譲り、「2013年にはヒデキに負けた」。
あのときの勝利で松山は、翌週の最終戦を待たずして、賞金王を決めた。
そして、今年は我こそが主役の賞金レースは「最後までもつれると、俺が言っていたとおりになった」。

競技が54ホールに短縮されたことで優勝賞金4000万円も、加算額は3000万円となったが2位の谷原とは、さらに広げて3076万6429円差。
次週は、これまた優勝賞金4000万円の今季最終戦で谷原を、勝つしかない状況まで追い込むことは出来たがこれまで何度も繰り返してきたように、「谷さんも俺も、ずっと言ってきたように、賞金王は後からついてくるもの。1年間頑張った人間が、賞金王になれる」。
獲得賞金は、あと250万円ばかりを足せば2億円を突破する。2001年に、伊沢利光が史上最多を記録した2億1793万4583円をも超える可能性さえ出てきたが、「今から夢みてもしょうがない。現実を生きましょうよ」とたしなめ、「俺はそこにはこだわらない。上に立てればそれでいい」。

今季3勝目ははからずも、前日3日目の18番の1メートルのバーディが、ウィニングパットになった。
思い返せば「簡単に入るようなラインではなかった」。
今週、バッグを担いでくれた坂井恵さんと、2人でしっかり読み切り「あれを決めておいて良かった」。
それでなければ、2つ上の正岡と「同点で終わって、今日は大変なことになっていた」。
最終日が中止となったことで、前日のあの1打リードが今ごろじわじわ効いてきた。

坂井さんとのタッグは、これで今年3戦2勝と「驚異的」。
前の1勝は、翌月曜日に持ち越されたプレーオフ9ホールを支えてくれた。
今年、波乱の勝利のかたわらには、いつも坂井さんがいてくれた。
次週のシーズン最終戦でもまた一緒に組む坂井さんは、まさに数奇なキャディといえるが「メグもいつも“もっと上を目指したい”と口癖のように言っている。互いに気持ちを高めて来週も、一緒に優勝争いを演じて優勝できるように頑張る。その結果、賞金王が獲れたらなおいい」。
勝って決めてこの1年の集大成にする。

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