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片山晋呉は「無の境地で」(全英オープン)

片山にとっては、本当に久しぶりの全英オープン。それでも、その知名度は、ここイギリスでも抜群だ。過去5度の賞金王は2009年のマスターズで4位に入るなど、この日はイン9ホールの練習ラウンドではキャップ姿でも、テンガロンハットのカウボーイスタイルは世界中に、その存在を知らしめてきた。
7年ぶり7度目の舞台は2002年にも経験している、ミュアフィールド。
「何が鍵になるって? 全部でしょう。どこが難しいって、それも全部でしょう」と、コースの本性を、嫌というほど知っているだけに、前日の14日日曜日のアウト9ホールの下見でも、そうだったが「適当にやりますよ」。
過酷な条件だからこそ、最初から入れ込んではだめ。「試合になったら、どっちにしろ力が入るんだから」。今から、難しい顔をしていては、最終日まで気力が持たない。初日まではすっかり肩の力を抜いているのがちょうどいいくらい。
「何が起きるか分からないのがリンクスコース」。だからこそ、すべてを受け入れる覚悟でいる。「今年の僕のテーマでもあるんだよね」。無の境地。「仙人みたいな」。何が起きても泰然自若でドンと構える。そんなふうに臨めるように、もちろん準備も万全だ。
「来るまでに、転がしの練習とか。バンカーに、板を立ててやったりとか」。そこだけえぐり取ったような、深いポットバンカーを想定してのこと。
さっそく、その効果を感じたのはこの日の17番ホールだ。グリーン左のバンカーで、名付けて“開脚打ち”。左足だけバンカーヘリに投げ出し、右足で踏ん張る不自然な姿勢は、誰にでも出来るものでもない。
日頃の鍛錬で、身体の柔軟性を保っているからこそ。そこから見事に脱出してみせ、高笑い。
「本戦でもやってみようかな? バンカーに入る前に、ストレッチ体操をしてみたり、ね」。
久しぶりに戻ってきたリンクスコースで本場のファンを、釘付けにしてみたい。














