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片山晋呉はこの日の子供たちとの出会いを原動力に

給食の時間ですよと呼びに来てくれた吉澤くんと、田名見さんと一緒に食堂に向かう片山。部屋に入る直前、「手を洗ってください」と2人に言われて思わず「ハイ!」と…
気配とともに、それはふわりと降ってきた。手を柔らかく握られて「こんにちわ!」。小6の吉澤大樹くんには、賞金王のその第一声で十分だった。

「あの人だ。本物の片山プロだ!」。

子供たちにとっては、その人の“声”が“顔”。だから、一度聞いたら絶対に忘れない。
吉澤くんは、嬉々として担任の先生に打ち明けた。
「“レッドカーペット”に出ていた人と、一緒の声だったよ!」。

吉澤くんお気に入りのお笑い番組に、片山晋呉が審査員として出演していたのは先月の30日(土)。
あの声の人が来週、学校に来てくれる。しかも、僕たちにゴルフを教えてくれる。
それだけで待ち遠しくて、胸が高鳴った。

そしていま、あのときテレビを通じて聞いたのと同じ声が「ナイスショット!」と、自分に向かって叫んでいる。
「いいぞ、上手だ」と褒められて、嬉しくてたまらない。

「世界でも活躍するプロゴルファーに会えるなんて!! 今日は片山プロに、本当にありがとうございますと言いたいです」と、スナッグゴルフの講習会で感謝した吉澤くん。

給食の時間は片山と、やはりお笑いの話で盛り上がった。

あるお笑い芸人の名前をあげて、「片山プロは“天津(てんしん)”が好きなんでしょう?」。
「そうだよ、良く知ってるなあ! 君は誰が好き?」。
「U字工事(ゆうじこうじ)!」。
「あぁ〜、あの人たちも面白いよね!」。
「ねえねえ、僕はナイツが好き!」。
2人の楽しそうな会話に、すかさず他の子供たちも割って入って、質問大会になった。

「お休みの日は、何をしてますか?」。
「プロになったのはいつですか?」。

中学以来約20年ぶりという給食に舌鼓を打ちながら片山は、子供たちとの他愛ないお喋りを楽しんだ。
食器の片づけ方を、一生懸命に教えてくれる子に胸を熱くした。

ジュニアレッスン会に行くといつも、清々しい気持ちにさせられる。
子供たちの笑顔に癒され、「もっともっと、この子たちを喜ばせたい」という気持ちでいっぱいになると、片山はいう。
「そのために、ゴルフをやっていると言っても過言ではない」と。

まして、今回は目の不自由な子たちが相手だ。
「スナッグゴルフや給食を一緒にとりながら、みんなの心がなんてきれいなんだろう、と…。明るくて元気で。僕の心も洗われた」という。

近頃は、自分の優勝に喜んだり、泣いたりしてくれる人たちが、自分の中に入り込み、自分を動かしてくれてるのだと、感じることさえあるという。
「みんなが喜んでくれる姿を見るためなら、疲れたとか、時間がないとか、寝たいとか、言ってる場合じゃないと思う。そのためだったら、僕は何でも出来るんです」。

給食のあとの講演会で、「みんなが、テレビの向こうで喜んでくれるだろうな、と思ったらまた頑張れる」と片山は言った。

まもなく、今季メジャー2戦目の全米オープンが控えるが、「マスターズ(4位)以上の成績を期待しています」との激励に思わず苦笑いで答えつつ、「今日ここに来て、みんなに会えて本当に良かった」と講演会で、感謝の気持ちを伝えた。
「教えに来たつもりが、みんなにいっぱい教えられました」と余韻にひたったまま片山は、その足で今週の「UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ」の会場の、宍戸ヒルズカントリークラブに向かった。

この日、出会った子供たちがきっとまた明日からの原動力になる。

  • 給食の時間は吉澤くん(左)を中心にして、お笑い話で盛り上がる!
  • 他の子も、つられて片山に次々と質問をぶつける。「お休みの日は何してますか?」(小4の大和田里奈さん、左)。「頑張ってトレーニングしています」(片山)。
  • 次第に輪が広がって、あちこちでお話の花がさく…!!

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