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ワールドカップ最終日 日本チームは単独5位でフィニッシュ

4日間を戦い終わってどうだったかを問われた質問に、2人ともしばらく言葉が出てこなかった。
“もっとスコアを伸ばすことが出来たはず”という悔しい思いと、極度のプレッシャーからようやく解放された安堵感の両方が入り混じり、2人は呆然としていた。

最終日のゲーム方式は、1つのボールを2人が交互に打っていくフォアサム。
2日目と同様、奇数ホールは今田が、偶数ホールでは藤田がティーショット。
昨日のインタビューで、「自分にプレッシャーをかけ過ぎないようにしたい。」そう語っていた2人だが、そのプレッシャーはホールを重ねていくごとに増していくばかりだった。

「フォアサムでは3番ホールまでにアンダーにしておかなければいけない。」2日目のラウンドが終わった後に今田がそう語っていたが、今日はその通りのスタートが出来ていた。
1番Par4では2.5mのバーディーパットをカップに蹴られパー。2番Par3もパーとした後の3番Par5で2オンに成功。2パットでバーディーとして、まずは思い描いた通りのスタートを切った。すると4番Par4ではピン横6mを藤田がねじ込んでバーディー。流れが出始めたかに見えた。しかし、5番Par3で短いパーパットを外しボギーとしてしまう。6番Par4をパーとしたあとの7番Par5では2オン2パットでバーディーとしたものの、以降、なかなかバーディーを取ることが出来ない。8番から12番までパーとして、迎えた13番Par3でピン手前3mを決めてバーディー。“さぁここから!”と思った矢先、14番Par4をボギーとしてしまう。続く15番Par5でバーディを奪うものの、そこからも流れには乗れず、Today5バーディー、2ボギーの3アンダー、Total22アンダーの単独5位で今年のワールドカップを終えた。

「フォアボール(初日と3日目のゲーム方式)では、2人がある程度かみ合って上手く出来たが、フォアサム(2日目と最終日)ではボクが足を引っ張ってしまって・・・。4日間通してボクの中では納得いかない。もっと藤田さんの助けにならなければいけなかったのに・・・。」今田の口からは反省の言葉しか出てこなかった。
実は今田は背中痛を抱えていた。昨日のラウンドからショットが右にいっていたのはそのせいでもあった。しかし言い訳をする気は毛頭ない。
「今日は藤田さんがとても良いゴルフだったので、自分の調子が良くない分、それがすごいプレッシャーとなっていた。国を背負っているというプレッシャーも当然あって、何とも言えない辛さ、苦しさがあった。」
今日の最終ホール、最後のパーパットは2mほど残っていた。今田はこのパットを沈めたのだが、「“これが最後だ。やっとこのプレッシャーから解放される。”と思ったら、すごく気が楽になってスムーズに打つことが出来た。」

同様に、藤田も日本代表としてのプレッシャーを当然抱えていた。
「“世界で活躍している今田君が自分のパートナー”というだけで、ものすごく楽な気持ちになれた。それだけで今田君には助けてもらったと思っている。本当に心の支えになってくれていた。ゴルフの内容は満足な形ではなかったけれども、達成感はあるし、今となってみれば楽しい4日間だった。でもスコアはもっと出したかった。日本はもっと上にいけるはずだし、今回もいけたはず。世界に日本を示すためには2位や3位ではダメ。そういう意味でも、今回は優勝したかった。」
今田も、「ワールドカップに出場している以上、優勝しなければ意味がない。日本を代表して来ているという自負もあったし、優勝して帰りたかった。この大会には慣れようがないけれども、でもまた機会があれば挑戦したい。プレッシャーは常にあるけれども、日本代表というのはすごく名誉なことだし、自分のためにもなるはずだから。」

2人はこの1週間、我々には計り知ることが出来ないプレッシャーを抱えていた。
しかし、単独5位という結果以上に2人が得たものは大きかったはず。
今後、必ずこの2人が今以上の活躍で“日本ここにあり”を世界に示してくれるはずだ。

上位チームの最終成績

優勝   イタリア −29
2位タイ アイルランド −28
      スウェーデン −28
4位   イングランド −26
5位   日本 −22
6位   オーストラリア −21