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藤田寛之は「やりたくない。でもやらなきゃいけない!」

満員の観衆に向かって思わず弱音が。「やらなくていいのなら、やりたくない」と苦笑した。
「本当は、怖いんです」とも。
そのココロは4月に開かれる「マスターズトーナメント」だ。41歳にして、初めて出場権を手にしたのだが、世界最高峰とも言われるメジャーの重圧に、早くも押しつぶされそうになっている。
「マスターズという“ブランド”と、自分のゴルフにギャップを感じてしまう」と、藤田は言う。
昨年末に、委員会から招待状を受け取っても現実味はなかった。「どう考えても俺じゃないだろう、と」。あいかわらずどこまでいっても後ろ向き。
そんな藤田の背中を押してくれるのは、何よりファンの期待と声援だ。
「“励みにしています”とか、“頑張って欲しい”とたくさんの方々に言っていただいて。そういう声があるから頑張れる」。
血のにじむような厳しいトレーニングも、またしかりだ。
ゴルファーなら誰もが憧れるゴルフの祭典。
「でも本当の藤田寛之は、“やりたくない”」。
しかし、ファンの期待を一身に背負う「プロゴルファー藤田寛之は、“やらなきゃいけない”」。そんな「表裏一体」の葛藤を抱えながら、これから本番までの残り約2ヶ月を過ごす。
まずは次週、世界ゴルフ選手権の「アクセンチュアマッチプレー」を皮切りに3週間、米ツアーで腕試しだ。21日(月)に、いったん日本を旅立つ。実践の中で、師匠の芹澤からこのオフに出されたスイングの課題克服を目指すことで、マスターズへの手がかりを模索する。
「オーガスタは、テレビでしか見たことのない」。藤田にとってもまさに未知の世界だ。「そこで自分はどんなプレーが出来るのか、まだ想像もつかない」。目標スコアや順位はと聞かれても、いまはまだ、見当もつかない。
ただ、いま言えるのは「パトロンが、認めてくれるようなショットを、ひとつでも多く、オーガスタで打ちたい」ということだ。
目標は、“世界一のゴルフ通”とも言われる地元のギャラリーをうならせる技を、ひとつでも多く披露して帰ってくること。「確かにここに来てプレーをしたんだ、という何かを残して帰って来たい」。
まずは謙虚な目標を置くことで、くじけてしまいそうな心をどうにか支えている。














