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藤田寛之が最優秀選手賞受賞

最後の最後にご褒美が待っていた。今季のツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で今季2勝目をあげた藤田が土壇場で、賞金王の金庚泰(キムキョンテ)を抜いて逆転のMVPに輝いた。

12月6日(月)に、都内のホテルオークラ東京で行われたジャパンゴルフツアー表彰式で、今をときめく“アンダー25”らと席を並べた41歳は、受賞者を代表してマイクを握って恐縮しきりだ。

「本人には自覚がないのですが…」。

確かに、金と石川遼と、池田勇太の三つ巴の賞金王争いからは、一足先に脱落した。
夏を過ぎたあたりから、深刻なスランプに陥って「みなさんの期待に応えられるような、スイングが出来ていない」と、苦しみ続けた1年でもあった。

「だからこそ最後にこうして立派な賞を頂けたことで、みなさんからお墨付きをもらえたような気持ちです」と、いっそう感慨深い。
思えば今年は、開幕から2戦目の4月のつるやオープンで、やはり40代の谷口徹とプレーオフ3ホールの激しいデットヒートを繰り広げるなど、序盤から大暴れした。

最初に賞金レースを引っ張ったのは、自分とのひそかな自負もある。
「春先から、突っ走ってきましたので」。

特に、日本プロや日本ゴルフツアー選手権、そして日本オープンでの再三のV争い。
それだけに、いよいよ今季最後の1戦も、悲願の日本タイトルと、これもまたかねてより目標にしていた年間2勝以上をかけて、再び谷口とともに大接戦を演じられたことは、なおのこと感慨深い。

身長168センチの肉体は、40歳を越えて「体力的にかなり厳しい」。現実を振り払い、自らにムチ打って、懸命に気力を奮い立たせた。
10代、20代に混じって、アラフォーの存在感をアピールした。
同世代に、大いに夢を与えた。
努力は必ず報われるとのメッセージを、みごとに体現してみせた。

この1年間の締めの挨拶で、壇上に立った選手会長の深堀圭一郎もまた、同世代の42歳。
「藤田選手はまさにいま、コツコツと積み重ねてきた努力が花開いたのだと思う」と、その活躍をまた励みに再起を誓った。

ゴルフ界に、元気と勇気を与えた藤田は来季、4月にオーガスタの舞台に立つ。
「しっかりと準備をして、夢の舞台に臨みたい」。
41歳は、まだまだ輝き続ける。

※最優秀選手賞の藤田には、社団法人日本ゴルフツアー機構、会長の小泉直より記念のトロフィと、シティバンク銀行株式会社のダレン・バックリー代表取締役社長兼CEOより賞金100万円と、全日本空輸株式会社の西村健・上席執行役員東京支店長より「ANA国際線ビジネスクラス任意一区間往復ペア航空券」が、また、オーデマ・ピゲ・ジャパン株式会社の麦野豪・代表取締役兼最高経営責任者より「ロイヤルオーク」の豪華副賞が贈られました。


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