記事

PGAフィランスロピー 2000

「上出来です。…いや、出来すぎです」加藤雅成

「これってケガの功名、…ってやつですかね」と笑うのは、通算8アンダー8位タイにつけている加藤雅成。今週火曜日に愛用のドライバー、プロギアの黒チタンがまっぷたつに割れた。急きょ、メーカーに頼んで、同・赤チタンを代用すると、これがぴったりマッチした。
「飛んで、曲がらない、すごく打ちやすいクラブ。これまで平均260ヤードくらいしか飛ばなかったけど、今週は10ヤードくらい、飛距離が伸びるし、ティショットがすごく調子いい」

PGAの資格認定プロテストに、今年5回目の挑戦でようやく合格できたものの、ツアーのファイナルクォリファイングトーナメントは予選で失敗(163位)。
5月の日本プロゴルフ選手権と、このフィランスロピートーナメントで独自に行っている予選会27位の資格で今週、2度目のツアー挑戦となった。
前回の日本プロゴルフ選手権では予選落ち(95位)。「でも、あれは初日に叩いちゃっただけで…。2日目にはアンダーが出せたんです。それがすごく自信になっている」という。
その自信を糧に今週はツアー初の予選通過、しかも上位で進出して「上出来です。いや…出来すぎといってもいい」と満足そうに振り返った。
今回も、前回の日本プロ同様、キャディにフィアンセの岡野生子さんを連れてきた。
岡野さんは、「僕のひとつ年上のしっかり者」。スタートの10番パー4で3パットのボギーを叩くと、岡野さんの激が飛ぶ。「『何してんのっ!!』だって。しかもバシっと叩かれて、ですよ(笑)。で、次の 11番のバーディパットは『シビレるなよ!』ですからね。でも、これがけっこう励みになる。すごく支えてもらってます」(加藤)。二人三脚で、上位進出だ。
最終日は「この場にいられることを幸せに感じながら、とにかく自分のゴルフをするだけです」と加藤。ホールアウト後は岡野さんと2人、チャリティパターコンテスト(1回500円以上のチャリティ)を楽しみながら、翌日にむけ調整をしていた(=写真右がキャディの岡野さん)。

★ 加藤雅成
昭和45年9月13日生まれの29歳。身長172センチ、82キロ。はじめてクラブを握ったのは5歳のとき。父と一緒に連れられ練習場に行ったのがきっかけだった。小学校6年までサッカーをしていたが、中学進学時に「ゴルフとサッカー、どちらか選べ」といわれ本格的にゴルフの道へ。当時は、丸山茂樹の父・護さんに師事し、大学はその丸山を追って名門・日大に進んだ。現在は、宮瀬博文の師匠でもある、高須南雄に師事している。
小さいころから仲のよかった丸山とは今でも親交があり、今年の資格認定プロテストに合格後、すぐに連絡を取ると「やっと通ったのか! 早くここまで来い!」と喝を入れられたという。最近、世界最小ストロークタイの58の記録を出した「偉大な先輩」には「遅れを取りすぎている」と話す加藤は、少しでも丸山に追いつきたいと日々、奮闘している。