日本プロゴルフ選手権大会 2018

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谷口徹が3度目のプロ日本一で涙のジャンボ越え

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吠えて吠えて、吠えて泣いた。28歳との死闘を制した50歳のつぶらな瞳から、とめどなく涙がこぼれた。谷口が、大会最年長Vで3度目のプロ日本一。土砂降りの表彰式で、日テレの河村亮アナウンサーから声をかけられ絶句した。2秒、3秒、4秒・・・。やっと振り絞った声も、かすれていた。強い雨音にかき消されて、観客席まで届かなくても、抑えきれないベテランの喜びは伝わった。

後から照れを交えてしみじみ言った。
「泣くような気分ではなかったんだけど・・・。入ったのが嬉しくてね」。
プレーオフ2ホールを戦った28歳の藤本には、若さでも、体力でも敵わない。
「道具も進化して、若い選手には飛距離で差をつけられてしまう。でもパットは下手にはならない」。
2打差で迎えた17番では5メートルのパーパットをしのいでガッツポーズを握った。1差で来た18番は、奥から5メートルのバーディトライをねじ込み追いついた。

臨んだサドンデスは、再び18番の繰り返しも、2ホール目から前のティを使うことになった。「次に行くと負ける」と直感した。「飛距離で優る藤本くんのほうが有利だから」とこれ以上の消耗を避けて、とどめもやっぱり5メートルのバーディトライを仕留めてついに吠え締め。
3打目のへり近くにくっついたバンカーからのアプローチもまた絶妙だった。
ふいの横殴りの暴風雨に、本戦の15番では第1打が240ヤード先のフェアウェイにも届かぬ不運もあったがベテランの小技と執念を駆使して偉業を達成できた。

96年大会で、ジャンボが49歳で達成した大会の史上最年長記録を塗り替え、男泣きした。
「我慢すればチャンスはあると思っていたが、褒められたゴルフではなかった。ため息が出るくらい。大会は最年長だが、ジャンボさんは55歳(※)で勝っている。足下にも及びません」。
土砂降りの雨に打たれた涙のVスピーチに、祝福にかけつけた弟子たちも、グリーン脇でもらい泣きをした。

節目の20勝まで6年かかった。「19勝したときは、こんなに勝てないとは思わなかった」。
一昨年には一念発起の筋トレに失敗。
「パワーはついたが、柔軟性が失われてスイングのバランスが上手くいかなくなった」。
賞金シードを失い、消沈した。
二人娘に「パパ最近、勝たないね」と言われて強がりを言った。
「パパが勝つと、稼げなくなるプロがいるから可哀想でしょ」。
家では子どもだましを言いながら「年齢もある。体力のこともある。昔のようにしたいけど出来ない。頑張っても結果が出ないとつまんない。やめた方が楽なのかな・・・」。
いったんクラブを置いてみる覚悟をするほど悩んでも、「やめても上手くはならない」と、忍の一字でついに復活の時を迎えた。

再び5年シードを得たが「僕には長いし重いです。2年くらい誰かにあげる」と、やっぱり言った。
「若い子と回ると飛ぶし、しんどい。あと5年もやる自信がない」と、あと5勝でもらえる永久シードも、今では興味がなさそうに言った。
「試合に出る権利がありすぎたらやめれない。自分でもうダメと、引導を渡すにはシード落ちが一番分かり易いじゃないですか」。

愚痴と弱音を吐きながら、男・谷口きょうも言う。
「若い子は、上手いし飛ぶけど、ほんとに勝つ気はあるのかな?」。
中日クラウンズで「トップ10入りで坊主回避」を宣言した秋吉翔太にも言ってやった。
「はあ? トップ10? 優勝するまで坊主やろう!!」。
50歳を過ぎても、なんで試合に出続けるかって、「優勝するために来ている。それでなんでトップ10なんだと」。
若い子たちの遠慮なのか、謙虚なのか。
「スポーツの世界で謙虚って・・・」と、呆れる。
「自分は昔、もっと貪欲やった。すべての面で、他を圧倒した。入れなきゃいけないときに入れて、寄せなきゃいけないときに寄せる。どんな手段でもパーを取る。きれいなゴルフをやっても勝てない」と、V会見でもまた吠えた。

オフは宮崎合宿で、これはと思う若手を集めて勝負を挑む。
「僕を見て学んでもらえたら嬉しいなと思うし、僕も若い子を見ていたら、元気をもらえるというのはある」とこれぞきっと、50歳の本当の若さの秘訣。
「50歳って・・・、あんまり書かないで。そういう年齢の自覚がない。数字が変わっただけで、40も50も自分の中では変わらない。体もどこも故障はないし、至って元気!!」。
この先5年と言わず、ゴルフでも、口でも、まだまだ名パフォーマンスで楽しませてくれそうな勢いだ。

※ツアーにおける最年長優勝記録は2002年のANAオープンで、ジャンボ尾崎が達成した55歳7ヶ月29日です。

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