三井住友VISA太平洋マスターズ 2017

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小平智が妻に捧げる今季2勝目

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夫婦が待ちに待った瞬間は、富士の麓で訪れた。初めて妻の前で勝った。
愛妻に、逆転の今季2勝目を捧げて「圧巻でした」と、惚れ惚れさせた。
3打差の3位タイから出た最終日はスタートから妻をドキドキさせた。
「朝は左のアプローチから始まり、ナイスパーでは出ていったんですけど」と、水曜日のプロアマ戦は古閑美保として“お仕事”でもこの日ばかりは“小平美保”に徹してついて歩いた夫の一部始終を振り返った妻。
「2番も左を嫌がって、右に行った。3番ロングできっちり取れたのは、良かったけど4番、5番もショットが良くなかった」。
3月に妻になり、応援する側に回った美保さんが、いまやっと理解したというのは「親の気持ち」。ツアー通算12勝の元賞金女王は、2011年に引退するまで「お願いされたって、やってんのはこっちなんだから」とせっかくの両親の応援を突っぱねたこともあったが、「いまは私も“入って”ってお願いすることしか出来ない。私が彼の代わりにプレーするわけにはいかない」。

6番ではロープの外で悲鳴を上げた。フェアウェイから夫の2打目はあわや池。美保さんは「ピンしか見えていない」と、呆れた1打も出会ったころから海外志向の強い夫は「世界の選手は池があってもピンに打っていく。守りだけでは勝てない」と、凜々しくぎりぎりラフに残った第3打もピンそばにくっつけ、一転、バーディで妻を安心させた。

次の7番では「ティショットをくっつけた時に、もう大丈夫と思った。あのショットで、彼にはスイッチが入ったように見えた」と妻は、パー3で獲ったピンそばの連続バーディから、ゾーンに入った夫を見抜いた。
ピンチもしたたかに、チャンスに変えて10番もまた、入りかけの2打目でついに逆転に成功した夫。
「前は崩れていた場面で伸ばして、そこは彼のすごく成長した部分」と、夫を励ます妻の声もいっそう熱を帯びた。
「プレッシャーになる人もいますけど、彼は応援を力に変えられる人。シャイで照れ屋だけれど、盛り上げてあげればどんどん行く人」。
「声援が凄く力になった」と妻の理解に感謝した夫。
普段は年下夫のプライドをむき出しに「俺のほうが、ゴルフが上手い。口出しはして欲しくない」と、時に夫婦げんかになることもあるそうだが前日夕方は珍しく、コースに駆けつけた妻に「バンカー教えて」。
柔らかい砂質に対して、ボールが刺さってしまうと悩んでいた。
「ヘッドを開いてみれば?」と妻に言われて、素直に聞いた。
「彼女も一応プロゴルファーですし、活躍をしている人なので。聞く“あれ”はあるんじゃないですか」と言葉はやっぱり憎らしくても17番で、見事50センチに寄せたバンカーショットは、紛れもなく内助の功だった。

18番でも2位に3打もつけていながら池越えの2打目を7番アイアンで、夫はまだ懲りずに果敢にピンを狙った。
「イーグル獲って、後ろの選手がアルバトロスを獲っても勝てないようにしたかった」と、とことん強気に最後まで、妻をハラハラさせた。
「彼はプレッシャーがかかるほど、置きにいくショットはやらない。躊躇なく、ドライバーを振る。ノってきたら、ビタビタつく。今日みたいなゴルフは私には出来なかったこと。ドキドキするけど見ていて楽しい」と、最後もバーディの完勝で妻を大いに喜ばせた。

10月の「トップ杯東海クラシック」で新婚初Vをあげたが、あのとき妻はいなかった。
交際時も含めて初めて生で聞かせる優勝スピーチは、見守る妻に向かって大観衆の前でてらいもなく「美保」と呼び、一斉に冷やかしの声を聞いても男らしく「美保と一緒にトロフィを持つのをずっと楽しみにしていたので。凄く嬉しい!!」。

妻の目の前で、2週ぶりにまた賞金1位に返り咲いた。
優勝賞金4000万円を加えて1億5455万4813円は08年に、女子ツアーで賞金1位の妻の当時の年間獲得額も抜いた。
誰もが認めるおしどり夫婦がついに“キング”と“クイーン”なら何度も言うように、年末の披露宴もこの上なく絵になると思うが、夫の目標はあくまでも世界ランク50に入ってマスターズに出ることである。

「彼は向こうでもドライバーをブンブン振るし、精度は引けを取らない。伸びしろは凄いある。もっとショートゲームを磨いたら通用する」と、美保さんも太鼓判。
「1年間努力して、球を打った人が賞金王になる。練習も、トレーニングもいま一番、ゴルフに向き合っているのが自分だと思う。賞金王になって、マスターズに行ければ嬉しい」と、改めて夫の気合いも入った。
“クィーン”同伴の“キング”のオーガスタ入りならそれもまた絵になる。

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