ANAオープン 2016

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ブレンダン・ジョーンズが復活のV14

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強い“BJ”が帰ってきた。土壇場で、若いホストプロ2人も蹴散らした。ジョーンズが、大混戦を制して3年ぶりのツアー通算14勝をあげた。「久しぶりすぎて・・・」。3年の間に、勝者の作法もすっかり忘れていた。

最後は1メートルもない。短いパーパットを沈めると、長い両腕を突き上げた。嬉しくて、頭を抱えた。キャディのマイケルさんとハイタッチ。仲間と抱き合い、我も忘れて喜んだ。直後のヒーローインタビューでは、少し目も潤んだ。
まさに狂喜乱舞のそのあとで、大事なことを思い出した。表彰式に出ようという直前。観客席から声をかけられ、ハっとした。

オーマイゴット!!
俺としたことが・・・。
ウィニングボールをまだ拾ってなかった!!

今さら18番グリーンのカップをまさぐる勝者にざわめく観衆。最終日の輪厚恒例。スタンディングオベーションの大ギャラリースタンドのあちこちで笑いが起きた。
大失態がばれてしまった。一部始終を主催者も見ていた。
「あんなことも、あるんですねえ」と、篠辺修・全日本空輸(ANA)代表取締役社長。
返答に窮したかたわらの青木功は「う~ん・・・・・・」。
JGTOの新会長も、苦笑いで唸るしかなかった。前代未聞のVシーンが、喜びの大きさを何より如実に物語った。

3年越しに、輪厚にお返しも出来た。ラフから打った15番で、左手首を壊したのは13年大会の2日目だ。
その年11月に、1回目の手術に踏み切るも失敗。翌年5月に再手術を経て丸1年を棒に振った。
留守の間の若手の台頭に、無敵の男が弱音を吐いた。
「それまでは、ほぼ毎年勝っていたのに。もう二度と勝てないんだと思った」。
ちょうど休んでいる間に、クラブを体の一部に固定して打つ、いわゆる「アンカーリングの禁止」が採択されたことも、長尺パターがトレードマークのベテランにはキツかった。
左手首には、ネジが埋め込まれている。皮膚の上から触っても、そうと分かる。違和感は、まだある。
以前にもまして、繊細なタッチは難しくなった。それでもルール改定に従い、それまで全13勝を支えた"相棒"を手放したことも、自信を失う一因になった。

私生活でも試練が続いた。最愛の母マーガレットさんが、ガン宣告を受けた。
経理の一切を任せていたマネジメント会社の税金未納も発覚した。
追徴課税は日本円にしてざっと「ツアーで4勝分」。1億円超の借金を抱えて途方に暮れた。
「ゴルフどころじゃなくなった」。コースでも荒れに荒れた。目に見えて大きなストレスを抱えて、ひとつのミスにも怒り狂った。
あれだけ強かった男がいよいよ勝ち星から遠ざかった。

まさに人生の紆余曲折を経て、ようやく掴んだV14だ。
「皮肉だけど、あの経験が今日の勝因」。
借金は、昨年のうちに返済した。母親の抗がん治療も快方に向かった。
今年になって落ち着いて、試合に集中できるようになっていた。
「ここ1ヶ月はショットも良くて、非常に良いゴルフが出来ていた」。
癇癪も起こすこともなくなった。
前半はボギーが先行して一度はリードを許しても、「まだ終わったわけじゃない、と。今日はパニックになることもなかった。過去の経験を生かしてプレーすることが出来た」と、ベテランらしい冷静なゲーム運びで、最後に首位の座を奪い返した。
ツアーで初めて普通丈のパターで勝てた。
「みんなは僕が、長尺じゃないから勝てないのだ、と。しかしそうではなかったことを、証明出来たのも非常に大きな出来事」。

同じ最終日最終組で回った今平周吾は23歳。「僕の息子といってもいい。若い良い選手がたくさん出てきて、自分の時代はもう終わってしまったのかと、思うこともある」。41歳だからこそ、惑うことも多いが海外勢としては、生涯獲得賞金で最上位の13位につける。
今週は輪厚の9と15番で計測されたドライビングディスタンスでは平均293.575ヤードを出して堂々のランク4位だ。
まだまだ、若い子には負けたくない。「これからますます勝つ事が、難しくなってくると思うが頑張って、次の15勝、16勝とつなげていきたい」。
寄る年波にもまだまだ抗う。
「まだまだ若く見えたい」と、不惑の筋トレはリバウンドもなく、一時期の体重90キロ台から約5キロ減の、85キロをキープするためにも「普段は好きなビールも控えているが、今日くらいは許してもらおう」。めでたいこの日ばかりは鬼嫁にも内緒で、浴びるほど呑むつもりだ。

最終日は、ひとつ前の組で回っていた池田と石川のホストVに一番の期待が集まったとは思うが「それでも日本のみなさんは、僕を親しく“BJ”と呼び、公平に応援してくれるから大好きです!」。
自身14回目のスピーチでも「ゴメンナサイ。ニホンゴハ、ハナセマセン」。
って、ちゃんと喋べれてるじゃないですか!
「アリガトウ! ガンバリマス!!」。
力こぶのガッツポーズも、久々に堂に入った。BJファンが愛してやまない。あのビッグスマイルも、久々に輪厚の森に帰ってきた。

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