ゴルフ日本シリーズJTカップ 2014

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孔明が悲願の天下取り!【インタビュー動画】

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  • 宮田さんは上がってすぐに「良かったね」と言っただけで、記念撮影にもおさまらずにさっさと引き上げて言った。「そういうところがまた好きなんです」と孔明
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  • 祝福の行列が出来た表彰式
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  • 天下取ったど~!!

師走に候補が乱立した2014年の賞金王争いも、ついに決着の時を迎えた。孔明が逃げ切った。孔明が天下を取った。「これでやっと寝れる」と笑った。「めっちゃ嬉しい」と36歳がおいおい泣いた。

最終日は、まさに真の王者というゴルフ。無二の相棒が支えた。11番で1.5メートルのバーディチャンス。2メートルも行きすぎた。「あのパターが今週の象徴かなと思ったけれど」。3パットの連続ボギーを打った直後に「頭を残して行きましょう」。キャディの宮田一幸さん。コンビを組んで9年目になる。「いるのが当たり前で、いないと不自然。空気みたいな存在」と絶大な信頼を置く。そのたった一語で、戦い方を思い出した孔明は、「助けられた」と感謝した。「最後は悔いのないゴルフをする。アンダーパーで回る」と強い気持ちで臨んだ。12番で「7歩」のバーディトライが決まった。そこから一気に攻め入った。最後の18番もまた「7歩」を沈めて渾身のガッツポーズを握った。上がりの3連続バーディで、一気に3位タイに食い込んだ。

「賞金王になるんだという、強い気持ちが最後に後押しをしてくれたのだと思う」。
すり鉢状の最終グリーン。夕暮れ空から降り注いでくる、大ギャラリーの祝福の声。こみ上げてくる思い。「うるっと来た」。どうにか耐えても、上がってすぐのテレビ会見では青木功に「俺も嬉しいよ。おめでとう」と労われてボロボロ涙が止まらなかった。
「何度も頂点を極めた方には何言われても心に来る」と、鼻をすすった。「泣かないようにと思ったのに。ダメだったっス」と、照れた。藤田と近藤と、岩田と4人の賞金レースは最終戦までもつれ込み、「自分が一番有利と分かっていても寝れなくて」。目には見えないプレッシャー。「よく熟睡する僕が今週は何度も夜中に目が覚めた」。夢見続けた頂点を目の前にして、眠れぬ夜もこれで終わりだ。

「こう見えて、ノミの心臓」と笑った。「体もデカいし」見かけは張飛とは、以前からよく言われることだが賞金ランク4位から、打倒孔明をにらんだ岩田も言った。「孔明さんは野獣みたい」。鋭いその弾道はもちろん「雨が降っても半袖だし」(岩田)。常につきまとう剛胆なイメージも、ランク2位から追いかけた藤田は「孔明は純真な男」と評す。昨年の日本オープンは、最終ラウンドを前にあまりのタイトル欲しさに涙した。無垢で真っ直ぐな心。初の王座をつかむのには何よりの原動力になった。

代々お寺の家系は「こう見えて信心深く」。年に2度の座禅修行も欠かさない。「こう見えて、まったくの下戸」は、どんな酒宴の席ももっぱらジンジャエールで通し、回りのテンションに合わせて笑い、しらふの手でさりげなく、大皿料理を取り分け配って回る。
「こう見えて、筆まめ」でもある。デビュー当時からつけている“孔明ノート”は早7冊にも及ぶ。日々のラウンドデータを緻密に書きとめ「弱点はどこか。改善点は何か」。次のいくさの計を練る。そこから導き出した勝利の法則が「逃げ切りの孔明」。ツアー通算8勝中7勝もそう。いよいよ最終決戦でもやはりこの策で天下を取った。

「オヤジはオレに、本当に賢い人間になって欲しかったのだと思う」。父親の憲翁さん。それは厳しく育てられた。幼いころから書を習い、読書にも親しんだ。礼儀作法にもうるさく「年上の人を敬え」「相手の目を見て話せ」。叩き込まれた。九州の怪童と呼ばれた手嶋多一の父・啓さんに才能を見いだされ、ゴルフの道に進むと、今度は血も滲むような過酷な練習を強いられた。
「子どものころは、嫌でしょうがなかった。でもおかげで集中力と、この強い体が出来たと思う」。ジュニア時代から評判だったその快打。「地元の練習場では普通なら、あり得ないところまで飛ばしたという逸話がある」とは手嶋。
ランク3位から粘った近藤は東京学館浦安高のひとつ先輩。「昔からパンチ気味にラインを出していく。イケイケのゴルフスタイル。後輩ながらも見習う部分が多い」。石川遼は、「飛んで曲がらない。世界にも引けを取らない精度、音、球筋、スピン量。賞金王はびっくりしない。世界中どのコースでも通用します」。

「350ヤード飛ばすつもりでやらないと、300ヤードも飛ばせない」。憲翁さんの口癖だ。何事も高い目標を持っていないと、そこに到達出来るはずもない。「常にトップを目指せ」。そう言って励まし続けてくれた父。「本当に感謝している」。70歳の今は体を悪くして、地元の大会にすら応援には来られないが、「前夜、珍しくメールが届いた」。
幼い頃に読まされた「三国志」の中の一文。諸葛亮孔明の名言が記されており、ジン・・・と来た。「でも返信はしていない。とにかく明日、結果を出して、帰って口で言えばいいと思ったので。苦労かけたのでね。恩返しがしたかった」とまた少し、涙ぐむ。

気は優しくて力持ち。36歳、小田孔明。60歳を過ぎたらきっぱり競技生活からは、退くつもり。「五輪で金メダルを取るような選手を育てられたら」。指導者としてハクの付くタイトルを、これから総ナメにしていくつもり。手始めとして、来季「まずは日本オープン。マスターズよりかは、優勝の現実味があるでしょう?」と言ってガハハと、次なる悲願は日本一決定戦。今度こそ、勝って泣く。

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