中日クラウンズ 2010

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石川遼が、ツアー最少スコアの58で和合を制す

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  • 6番でチップイン。これをきっかけに、新しい歴史の扉は開かれた・・・!!
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  • 9番では320ヤードを超えるビッグドライブを披露して、もう勢いは止まらない!!
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  • 「昨日の段階では、まさか自分がジャケットに袖を通すとは、思っていなくて・・・。まだ信じられない!」
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  • 大会に協力してくださったボランティアさんと・・・。「たくさんの人たちの支えがあって優勝出来ました。和合でこんな良いプレーが出来るなんて1人のプロとして幸せ!!」

石川遼が、半世紀を超える大会の歴史を軽々と塗り替えた。前半9ホールの28ストロークが大会新記録なら、18ホールの計12バーディも大会新。大会最多の6打差逆転による18歳と7ヶ月のV達成は、もちろん大会史上もっとも若い。第51代目のチャンピオン誕生だ。

そして何よりこの日最終日にマークした「58」だ。
日本ツアーはおろか、世界6大ツアー(※)を見渡しても、もっとも少ないスコアで難攻不落の和合をねじ伏せた。
18歳のあまりの勢いに、名物の強風もなりをひそめた。かわりに石川が、嵐を起こした。今までに誰も見たことがなかったような、常識外れのゴルフで疾走した。詰めかけた1万5904人もの大観衆の度肝を抜いた。感動の渦へと巻き込んだ。

本人も認めたこの日の「ターニングポイント」は、370ヤードの6番パー4だった。
ティショット、第2打とミスが続き、左奧のラフから打った残り15ヤードのアプローチ。サンドウェッジで打った第3打がカップイン。
4番から数えて3連続、またこの日5つめのバーディが、伝説創生の合図となった。

これを境に18歳が、前人未踏の域に分け入った。もう誰にも止められない。「和合は重ねた年齢と経験がモノを言う」との通説も通用しない。
安全に刻むのが鉄則とされる難コースで、パー3を除く14ホール中11ホールのティショットでドライバーを握り、「極端にアグレッシブにやるほうが、僕には合っている。未知の世界に足を踏み入れた」。開幕前に「僕が新しい大会の歴史を作る」と勇んで乗り込んだ。それを今、現実のものとした。

さらに8番から4連続。
13番パー3では、あわやホールインワンのスーパーショット。父の勝美さんはその瞬間「やめて」と叫んだという。「あんなのが入ってしまったら、リズムが崩れる」。
続く444ヤードの14番パー4で、手前のカラーからパターで打った10メートルのバーディチャンスがカップに沈み、その瞬間に、もはや勝ったも同然だった。

しかしどんなに下位に大差をつけようと、攻撃の手を緩めることはない。
「遼クンはゾーンに入った」と人々は口々に囁いたが、本人にはその感覚ともちょっと違う。「ふわふわした感じはあったけど、でも平常心だった」と、石川は言う。
「ただし」と、勝美さんは付け加える。
「あの子にとって平常心とは、全ホールでバーディを取ることです」。
そして息子は息子で「僕はバーディを取って、ヨシと気が引き締まるタイプ。それが今日は、極限まで行きました」。

4月のマスターズから帰国後すぐに取り組んだのは、「スイングアークを大きくしながら、遠心力にも負けない力感を持つスイング」。今まで以上に飛んで、曲がらないゴルフを目指した。
あ・うんの呼吸で始まった親子のスイング改造が、いま結実した。
実際に、たとえば374ヤードの9番のパー4の残り距離は、たった54ヤード。ティショットはなんと、グリーン手前のギャラリー通路まで飛んでいて、本人も球の行方を見失ったほど。
「今日は目指していたスイングが出来て。ドライバーは、普段より5%くらい飛んでいたと思う」。あとは打ち上げのグリーンに、ウェッジでふわりとピンに絡める。
和合のセオリーを覆す、まったく新しいゴルフで新時代を切り拓いた。

ついにツアータイ記録となる12個目のバーディは16番。それまでの3日間とも果敢に攻めて、跳ね返されてきた。1オンも可能なこのパー4にやってきた石川は、専属キャディの加藤大幸さんにティグラウンドでこの日のピン位置を尋ねたという。
「遼は、調子がいいときは、いつもティショットでピンポジションを聞いてくる」。
果たして、左林のショートカットで迷いなく振り抜いた3番ウッドは、手前のサブグリーンで跳ねてグリーン脇のバンカーへ。
それこそ練習日から「バーディを取るための最短ルート」と話していた。絵に描いたような理想のバーディで、これ以上ないくらい完璧なスコアカードを完成させても「99点」と、満点をつけなかった父の辛い採点に、本人も異論はない。

悔やんでも悔やみきれない残りの1点は、最終18番だ。
3メートルのバーディトライはわずかにカップに届かなかった。
「そんなパットをしていたら、お前のファンはどんどん減っていく」と、勝美さんに釘を刺されたのは前日3日目。
「最後の最後でまたショートしたのが悔しくて」。
誰よりファンを愛する18歳は、最後のクライマックスでこそ、大ギャラリーの期待に応えたかった。最後の最後まで、余すことなく喜んでもらいたかった。

若干の心残りはあるものの、毎ホールで大声援を受けながらの18ホールは「夢の中でプレーしているみたいでよく覚えていない」と、優勝スピーチでもいまだ夢見心地で、「でも、応援してくださったみなさんの声だけは、いまも鮮明に覚えています」と、ほんのりと頬を染めた。

※世界6大ツアーとは・・・米、欧、亜、豪、南アフリカ、日本ツアーを指します。

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