関西オープンゴルフ選手権競技 2017

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今平周吾が完全優勝のツアー初V

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待望の男が、日本最古のオープン競技で完全優勝のツアー初Vを飾った。
「嬉しいです」と、何度言っても周囲に何度も聞き返された。
「嬉しいですよね?」。
「めちゃくちゃ嬉しいです」。
「人生で一番くらい?」。
「そう…ッスね」。
何度聞かれても繰り返す声は、か細く頼りなく、しかしこれでも精一杯の初Vスピーチ。実はこれでも「テンション、凄くアガってます」。

そんな今平が3日目にポツポツと語ったのは「食事に誘ってくれるが谷口さんは、だいたい一人で喋っている」。
ちょっと待て。「ひとつだけ修正させて」と、谷口徹。「俺一人で喋っているわけじゃない。周吾が喋らないから。俺が投げても投げても、返して来ないから!」。

49歳がつい泡を飛ばすほど、無口な周吾。珍しく強気に言った?!
2位と6打差の圧勝には「皆さん、もうちょっと頑張ってもいいのかな…」。
これまたちょっぴり言葉足らずを補足すれば、5打差から出た最終日は「思ったよりも、下が伸びなかった」と、そういう意味だ。

スタートの1番では「なんかダボっちゃいました」と、隙は見せたつもりだった。
「やらかしたと思った」。でもすぐに2番で7メートルのスライスラインを沈めて「少し、気持ちが楽になった」。
3番ではスライスラインの4メートルでパーを拾って「少し、平常心になれた」。
その後、脅かす選手も出て来なかった。
最難関の12番では5メートルを沈めて2日連続のバーディを奪った。
完全に勝機をつかんだ。16番のパー3でグリーンをとらえて「行けるかな、と思った」。
自身3度目の最終日最終組にして、初めて沈めたウィニングパットも余裕で拾った。

今年、海外2戦のレオパレス21ミャンマーオープンでは前夜祭でもホストプロとしてマイクを握ればあまりにたどたどしく「日本語は、キョンテのほうが上手い?!」と、先輩プロたちをハラハラさせた。
「言葉で気持ちを出すのが上手ではないので。スミマセン…」。
口べたなりに、感謝の気持ちはしっかり伝えた。
話題の女子大生キャディは、中部学院大の若松菜々恵さん。
「大学生なんですけど。体もちっさいんですけど4日間、担いでくれた。頑張ったね」と、訥々と労った。

スピーチはモジモジでも、ゴルフも24年のゴルフ人生も華々しく、歯切れ良い。
中学時代の関東ジュニアで連覇を達成した。
埼玉栄高1年の日本ジュニアで松山を下すと翌年、高校中退で単身渡米。
米フロリダのIMGアカデミーで2年の留学中には全米ジュニアでベスト8に入った。

今季、いきなり電撃移籍したばかりのヤマハのクラブでまた飛距離が伸びた。
身長165センチでもめっぽう飛ばす。
勝負どころで決めきれないと、悩んでいたパッティングも昨秋、名手・谷口に指導を受けてスパスパ決めた。
2014年にはチャレンジ賞金王に。
翌年の初シード入りから、初Vはまだかと言われ続けた若手の筆頭は今季好調の波に乗り、満を持して勝った。

前夜、京料理屋ではV争いの心構えも聞いてはみたが、谷口は「そんなの関係ない。気にしちゃダメだ!」。
それより「もっとお金を使え」と忠告された。
「プロなんだから、ホテルもいいとこ、良い車に乗れと」。
49歳は、そうやってモチベーションを上げ続けて2度の賞金王にも輝いた。
自分もさっそくこれを機にと言いたいとこだが「車は去年、買ったばっかりだし。今年はビジネスホテルも押さえてあるし」とたった1勝では急にセレブになりきれそうにない。

「勝てて良かった」と、喜んでくれた谷口にもすぐに礼をと思っていたが「今平は息子みたいなもん。奢ってもらうようになったら引退ですよ」と辞退されれば確かに、「僕も谷口さんには奢れない」。
たかだか1勝では、恩返しにもまだ足りない。
「1勝といわず、調子いいときに、何勝も出来るようにしっかり頑張る」。

余韻に浸る間もなく翌22日月曜日には谷口らと全米オープンの予選会で、兵庫県の小野ゴルフ俱楽部での1日36ホールに挑戦する。
もちろん海外にも興味がある。
3年後の五輪も会場が東京に決まったときからの目標だが「とりあえずは日本で賞金王とかになって、そこから」。
待望の初Vも、期待の24歳にはやっとスタートラインに立てた気分だ。

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