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ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 2024

今年は年に4度も大会を抱える御殿場。阿佐比キーパーたちの戦いの記録

2度目の共催試合は、桂川有人の優勝で終わった。
一昨年に続く2度目のホストVで、沸きに沸いた御殿場。

敗れた欧州勢はいったん去ったが、日本勢は秋にまた戻る。


11月に、今度は伝統の「第52回三井住友VISA太平洋マスターズ」が控える。

さらに言うならその1ヶ月前にはマスターズの出場権をかけた「アジアアマ」もここ御殿場で行われる。

年に3度もビッグイベントを抱えるコースの気苦労は、察するにあまりある。



ちなみにコースの執行役員で、シニアスーパーインテンドの阿佐比一さんによると、実は7月にはメンバーさんのビッグイベント「クラブ選手権」もあるそうだ。

「もちろんそこにもしっかりと力を入れて・・・」(阿佐比さん)となると年に4回も、コンディションのピークをもってくる必要がある、ということ。


「あまりそういう言葉は使いたくないですが」と苦笑しながら、「1年通してそこを目指してカウントダウンしていって・・・というのが4回も続くというのは苦労・・・、といえば苦労ですかね」と、阿佐比さん。



そもそも、今回の欧州共催が御殿場にコースを移す、というのが1年前にわかったとき、阿佐比さんは「果たして、トーナメントをするに値するコンディションを作れるか」と、自答したそうだ。


一番の懸念は開催時期。
「この時期は芝も成長段階なので。すごく不利だしこの週に、トーナメントのための仕上げをするのは不適切な時期、といっていい」。

葛藤しながら全力した。


「想定よりうまくいったかな、と思うのは去年の夏あたりから取り組んだ肥培管理のプログラム」。
この時期としては、想定していた以上の青々した芝の絨毯が、大会を盛り上げた。

でも、少し計算が外れたのは、ベント芝の成長具合だ。
温暖化の影響で、春の到来が阿佐比さんの思った以上に早くて、芝の生育も想定以上に早かった。

「もう2、3週早く動いていくべきだった」と、悔いが残る。


欧州・DPワールドツアーのスタッフもそうだと思うがとりわけ11月の御殿場を知り尽くしている日本の選手たちこそ、11月と同程度のグリーンスピードを求めていることは、阿佐比さんも痛いほど分かっていて「もちろん、11月とまったく同じ速さや硬さ、数字というのは不可能です。それでも、私たちにも12フィートか、それに見合う数字を出したいという強い思いはありました。でも、そこは力及ばず」と、悔しそう。


「グリーンのスピードに関しては、まだやるべきことはあったな、と思っています」と率直に反省の言葉を述べたが、阿佐比さんたちコース管理の方々が、最大限の手を出し尽くしてそれこそ寝る間も惜しみ、心血を注いでこられたことは言うまでも無い。


御殿場に来て8年。
グリーン管理の最高責任者としては18年。
トータル25年以上のキャリアを誇る阿佐比さんにとっても、海外ツアーを手がけるのは初めての経験だった。

「過去の大会の中でももっともハードな1週間でしたが、それ以上に非常に学ぶことの多い1週間でした」と、感謝する。


欧州ツアーのスタッフたちが会場入りするなり、まず最初に改善を求められて驚いたのが、バンカー内の砂の柔らかさ。

「目玉になるのを嫌がられたんです。私たちの感覚としてはあくまでハザードなので。埋まろうが、どうしようが、それも選手の力量を試す部分という考えがありましたが、そこはかなりこだわっていらして。砂に埋まる状況は作りたくない、と」。

開幕まで3日をかけて、コースにある83か所すべてのバンカーに水を含ませ、急ピッチで彼らが求める硬さに仕上げたという。


本戦に入っても、濃霧のためスタートが3時間あまりも遅れるなど、阿佐比さんたちの業務も苛烈を極めたが、「スタッフも本当によく頑張ってくれたと思います」と、一丸で乗り切った。


欧州&JGTOのディレクターやルールズと


桂川の優勝で、「できれば、ここで日本人選手に勝っていただければ…」と話していた阿佐比さんたちの願いも報われた形だ。

「これをステップに、ますます世界で活躍し、日の丸を掲げる姿を見せていただきたい」と、阿佐比さんの目尻も下がる。


阿佐比さんらコース管理の方々のみならず、この時期としてはフルフィールドとなる156人もの選手を受け入れてくださったゴルフ場のご苦労はいかほどのものだったか。


たとえば、コース名物のメンチカツやフレンチトーストのほか、欧州共催を意識したたこ焼きや蕎麦、稲庭うどんなどの日本食、海外勢に合わせたビーガンメニューなど、朝昼共に100種以上の美味しいフリービュッフェで国内外の選手たちのお腹を満たしてくださったコースレストランの方々。


名物のメンチカツはもちろん、たこ焼きの完成度も好評でした


厨房はまるで戦争状態だったと思います。
選手もキャディさんたちも、日欧のスタッフも、毎日心のこもったおもてなしを本当に喜んでいました。

ありがとうございました。

日本開催の欧州ツアーは成功裏に終了しましたが、「まだ終わりません。7月、10月、11月と僕らはまだまだ頑張ります」と話されていた阿佐比さん。


JGTOの選手たちはまた秋の「三井住友VISA太平洋マスターズ」でお世話になります。
これからも、なにとぞよろしくお願いします。


お疲れ様でございました!